新世界/canna

01 あぜ道(谷中たかし・新井洋平/canna/重実徹)
02 Message<album version>(canna/canna/吉俣良)
03 From Tokyo To Atlanta(canna/Chokkaku)
04 The Blood Oasis(canna/canna/Alvin Waters・Calvin Waters・Doug Grisby)
05 Survival Game(谷中たかし/谷中たかし/Alvin Waters・Calvin Waters・Doug Grisby)
06 The End Of Summer<album mix>(canna/canna/Alvin Waters・Calvin Waters・Doug Grisby)
07 海に月が沈む前に(canna/canna/南利一)
08 約束の場所(あの日の僕らに)(周水/周水/周水・柏原利勝・村瀬範恭)
09 もう君以外愛せない(周水/周水/吉俣良)
10 右手(canna/canna/松岡モトキ)
11 恋の地図(周水/周水/松岡モトキ)
12 君のためのうた(周水/周水/吉俣良)
13 記憶の空へ(canna/canna/吉俣良)
14 A New World Of Love(周水・Jonny/谷中たかし/吉俣良)

SRCL5312
2002/04/10発売
Produce:canna

cannaという二人組は、楽器店でメンバー募集の張り紙を見た谷中たかしと周水が出会ったときから始まる。その後、彼らはインディーズで頭角を現し、タワーレコードのバックアップもあって、即メジャーデビューを飾る。ファーストアルバム『無人島』からも、新人ながらすでに提供曲を持ったり、ドラマの主題歌に取り上げられたりという堅実ぶりだが、華々しくスターダムにのし上がるということはなく、着々としたあゆみだ。
所属事務所がスマイルカンパニーということもあり、ジャニーズ関係に楽曲を取り上げられることが多い。
さてこの二人、谷中たかしがメインのヴォーカリストで、周水はバッキングヴォーカルとキーボードを担当する。特筆するのは、谷中のヴォーカル力であり、独特のこぶしを回した感じがなかなか粘っこいというかねちっこいのだが、癖が強いにも関わらず、それほどの嫌悪感を抱かせるものではないと思う。むしろ、好感が持てるような感じである。周水は、バッキングとはいえ、なかなかつぼにはまった曲を書き、今度のアルバムではメインのヴォーカルも、2曲担当。楽曲自体も周水の比率が上がり、周水をフィーチャーしたような感じの仕上がりだ。また、ミディアムテンポのバラードだけでなく、今回はラップなどにも意欲的に挑んでいる。

楽曲解説

あぜ道
cannaの8枚目のシングルで、アルバムに先行して発売されている。楽曲自体は、すでに竹内まりやが復活したときのサポートとして登場した武道館でも演奏されている。アマチュア時代、この曲でデモテープを作り、それが認められて、デビューのきっかけとなった曲でもあり、それをトップに持ってきたかったのではないか。楽曲自体は、cannaというか、谷中たかしの得意とする、甘酸っぱい幼少の頃の思い出である。
Message<album version>
7枚目のシングルで、活動を、シングルとミニアルバムに絞った2001年のもの。おそらく、アトランタでの海外録音後に制作されたものである。とはいえ、アルバムヴァージョンなので、ある程度の手直しがされている模様。洋楽テイストが強い作品で、これに日本語の詩をのせるというのにひどく苦労したとの彼らの談話である。
From Tokyo To Atlanta
一応、インスト曲となってはいるものの、ラストの部分で、次の「The Blood Oasis」の歌詞が少し用いられている。これから、初の海外録音に向けての意志がモチーフになっている。黒人ラッパーの声も少し入っている。
The Blood Oasis
黒人ラッパー、Bone Crusherと意気投合してできた作品。アトランタでイメージが沸いたらしい。黒人ラッパーと比較すると、さすがの谷中たかしの声も、幾分おとなしめに聞こえてしまうが。
Survival Game
女性のヴォーカルをフィーチャーした作品。谷中たかしとしては、こういうタイプのものもできるというか、むしろ得意とするようである。しかし、今までのcannaの曲としてはかなり異色で、こちらを冒頭に持って来るには違和感があろう。途中の叫びも、谷中たかしで、ブルース・りーを強く意識したらしい。
The End Of Summer<album mix>
こちらもアトランタレコーディングの作品のひとつ。とはいえ、ふだんの持ち味のcannaに戻っていささかほっとするところである。周水が沖縄にはじめていったときに書いた作品らしいが、曲中では、「君と彼」という表現になっている。ラストの語りは、アレンジャーの、Doug Grisby。また、シングル、「Message」のカップリング曲でもある。
海に月が沈む前に
cannaにしては、アップテンポのダンサブルなナンバー。ここで、Kyonとの初共演を果たす。後述の、「もう君以外愛せない」や「記憶の空へ」では、小野田清文との競演もあり、けっこう隠れた名プレイヤーを起用しているところが、プロデューサーとしても、cannaの成長したところか。いわば、わがままを通せるようになってきたというところである。
約束の場所(あの日の僕らに)
楽曲自体は、アルバムデビュー前に、セカンドシングルとして発表されている(タイトルは、()抜きの「約束の場所」)。ファーストアルバムの『無人島』でも、「太陽にのぼる虹」のイントロで使用されていて、こちらは谷中たかしが歌っている。ここでは、周水がヴォーカルを取り、もう会えなくなった人のことを歌っている。周水二十歳の頃の曲で、おそらく実体験に基づいているのではないかと思われる。『無人島』では、「River Is My Life」という、英語曲を歌っていただけであるが、このときよりも格段にヴォーカル力が上がっている。もちろん、谷中たかしの影響も見逃すことはできない。歌い方などは、谷中そっくりである。
もう君以外愛せない
こちらも周水の曲だが、谷中たかしが歌っている。KinKi Kidsに提供された曲のセルフカバーである。そちらのヴァージョンは聴いたことはないが、谷中たかしのもっとも得意とする、ミディアムバラードであり、情感としては間違いなく一層伝わってくるものである。
右手
こちらは5枚目のシングルで、『無人島』リリース後に発表されている。また、大塚ビバレッジのCMともタイアップした曲で、canna自身もオーストラリアでCM出演を果たす。映像付きのメディア出演はおそらくこれが初めてであり、cannaの名前を、お茶の間にある程度は浸透させたものでもある。
恋の地図
周水の曲だが、谷中たかしが歌っている。デビュー前のオーディションで東京国際フォーラムに向かうところを、地図を書いてもらったという実体験を元に書かれている。いわば、canna流のロードムービー的な曲か。
君のためのうた
周水の曲で、自身がヴォーカルも担当している。この曲には周水自身も思い入れがあるらしく、2002年春のライヴでは、自身の真情を吐露したあとに、これを歌っていたのだが、エンディング近くで想いが錯綜した模様で、思わず涙ぐんでしまい、ど素人のような歌い方になってしまったというエピソードを持つ。こちらも、かなりプライベートな部分が込められているのではなかろうか。また、こちらもKinKi Kidsに提供されている。
記憶の空へ
アルバム『無人島』から、『新世界』をリリースするまでの2年間、彼らはシングルとミニアルバムをリリースしていた。その頃の、6枚目のシングルである。ちなみに、NHKのドラマ「陰陽師」のテーマソングであるが、時代物ということで、壮大なものになったようである。
A New World Of Love
日本語で曲を作るというのが、cannaの持ち味だが、周水としては、必ずしもそうではないようである。いくつか英語の詩もあるのだが、これもその一つ。

ライヴレポートはこちら

2002/06/17アートスフィア


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