知子のロック結成裏話とか秘話とか

連載第1話「ビートのあけぼの」 Text by 鈴木銀座(トーマス)
ベースのトーマスは悩んでいた。
それまでやっていたバンドが煮詰まってしまったのだ!
高橋幸宏好きで、イカ天<註1>出演歴有りのドラムのルフランとコミックバンド等やっていたのだが飽きてしまった。
この時のギターは、柄本明の付き人やっていたTという人で数年後、「電波少年」でウクレレえいじという芸人になったらしい。

1995/03/12(日)
ここは高田馬場の飲み屋「いろはにほへと」。
「GS歌謡みたいなのやりたいんだけどな〜。いわゆる世間のロックという奴と大違いのすんごく違和感のあるかっこいーバンド作りたいよ。」
と、ぼやくトーマス。テクノ歌謡好きのルフランは賛成してくれた。
「ジューシィフルーツぽいのですかね。ボーカルが問題ですよね。いるかなそういうビートが似合う女のコ..」とルフラン。
「いるじゃん!脇に!!」
隣で肉じゃがを頬張っているトモコが!

トモコは20代前半の、初めて逢ったのに懐かしい顔をした女のコ。ショートカットの似合うナイスバディっ娘だ。ルフランの昔からの友達でバンドの練習をいつも見に来ていた。今日も飲み屋までつき合ってくれた。
「え、ボーカル?やりた〜い!」とノリノリのトモコ。
聞けばジャニス・ジョプリンが大好きだの事。よりナイスです。このバディでシャウトしたら弘田三枝子も降参!と思ったら何と、アニメ声だった。この意外性もすごい。これはもしかして..うまくいくかも。
ルフラン「ギターはどうするんですか?」
トーマス「いるんだよ。かっこい〜人が!」

80年代後半ネオGSブームが起き、後のオリジナル・ラヴやファントムギフト、ワウワウヒッピーズ、コレクターズが登場した。
トーマスが夢中だったのは新宿JAMでよく演奏していた「ノーノーボーイズ」!
その名の通りザ・スパイダーズ好きバンドだ。ガリバーズ、ダイナマイツ、ライオンズ、バニーズ等も得意なレパートリー。
長身でデビットボウイ似の、ギターのビーバーが特に人気があり女のコにキャアキャアいわれていたのだ!
ノーノーボーイズはTV番組に数回出演するも1988年8月、残念ながら解散。
時はめぐりて、単なるおっかけだったトーマスはギターのビーバーの、GSシングル盤マニアフレンド?へと昇格していた。
そのモテモテのビーバーを誘ったのである。
果たして...
脚注
<註1>イカ天 TBSテレビ「いかすバンド天国」というバンドのオーディション番組。司会・三宅裕司と相原勇。5週チャンピオンで勝ち抜くとメジャーデビューできるという特典があった。フライングキッズ、ビギン、たま、ブランキー・ジェット・シティなどがあるが、勝ち抜かなくても、青田買いにあうということもあった。

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