1998/03/08 渋谷Club La.mama

その夕方、シジマールさんと待ち合わせをして、La.mama に向かう。なんといっても今回の武器は、デジカメがあるのだ。それにしてもここは凄い坂だな。お互いに喘ぐいいトシをした男二人。
La.mama には、18:00頃に着く。まだチケットの販売はしていない。一番乗りのようであるが、ハデハデな女性が数名わしらのあとに並ぶ。チケット販売は18:30からであった。店の人がいうには、「最初の知子のロック出番が遅くなりまして、19:50頃からです」とのこと。まあいい、とにかく中に入ろう。
開店間際のライヴハウスは、ほとんど閑散としていた。18:45頃、チェックのシャツを着た髪の長い若者が、ステージ上のキーボードのあたりに上がって、機材のチェックをしていた。
「あれ、なんかパンジーに似てるけど、違います?」(ヒョウタンツギ)
「う〜ん(と何故か持ってきていた『ルートRockで待ってなよ』の写真をチェック)」(シジマール)
よくわからないまま、刻々時間が過ぎていく。
19:00、いかにも若者風の三人組が入ってきた。どこか見たことがある。ん?あっ、トーマスがいるし、ビーバーも、ルフランもいるぞ。続いて、すらりとした女性も入ってきて、どうやら楽屋に消えたようだ。
「い、今の知子だ・よ・ね?」(ヒョウタンツギ)
はっきり言って、これは街中で会ってもトーマスを除いてはごくフツーの人である。たぶんわからないだろう。
ここで、シジマールさん立ち上がり、「サインをもらってきます」
続いて筆者もも立ち上がる。手にはしっかりとデジカメを構えて。
サインをCDにしてもらっているシジマールさん。僕は、思わず「ニフティで普及委員会ってのを作ってます」と厚かましくも告げていた。さらに厚かましくも、一緒に写真に収まろうとすると、トーマスさん(何故かここからさん付け)が、「お〜い、パンジー」と先ほどの機材チェックの若者に声をかけ、一緒に収まる。いやあ、いい人ではありませんか。さらに、ルフランが知子を呼びに行くが、「今お化粧中で」とのこと。「あとでまた呼んできます」ますますいい人たちだなぁ。

メンバーとカメラに収まるシジマールさん、嬉しそう

(左から パンジー、ルフラン、シジマール、ビーバー、トーマス)
何故か我々の住所も控えられ、これはどうやら歓迎されたらしい。またしても、ビーバーが知子を呼びに行き、「もうすぐ来ます」とのことで、メンバーたちとは握手をして席に戻る。
すると、知子がやってきた。早速、サイン、写真、握手の三点セットでミーハー気分は最高潮。ジャケット写真の知子さんは、ややふっくらとした感じであるが、その時よりも少し痩せられたようである。筆者より少し身長は低かったので、165p以上ということにしときましょう。
「今日は、40分くらい。新曲もやりますよ」との言葉にライヴへの期待も高まる。

知子と筆者

(なんとツーショット)
19:55、知子を除くメンバー登場。トーマスのカウントダウンで曲が始まり知子がステージへ。これは知らない曲だ。でも、ノリがいいぞ。間奏の合間に激しく踊る知子とトーマス。ステージ衣装は、例のフリフリのついた白いシャツに、知子は黒いベストのついたパンタロン。メンバーは、サックスブルーのベストにスラックス。もちろんベルトは、縦に二つ穴の開いた太〜いやつである。ほとんどCD写真と変わらない。
曲が終わると、すかさずトーマスと知子の掛け合いのMC。
トーマス:「雛祭りを終えた渋谷のヤングの皆さん、今晩は。僕たちは、昭和の40年代からタイムスリップしてきた知子のロックです。それじゃあ、いつものように参りましょう。ルフランが作った曲です、朝焼け…」(もちろん、茨城弁)
知子:「デイト!」
ルフラン、小気味のいいドラミング。それにしても、奥の方があまりよく見えないな。ステージは左から、トーマス、知子、その後ろにルフラン、ビーバーと続き、右端にパンジーが控える。
またまたMC。
トーマス:「トモちゃん、トモちゃん」
知子:「ハイッ!」
トーマス:「雛祭りを終えた今、ホワイトデイだよね。トモちゃんは、ホワイトデイというと、何を期待するのかな?」
このあたりの掛け合いのネタは、トーマスの譜面台にメモが置いてあるらしく、一瞬台詞を忘れた知子。トーマスは必死に譜面台を指さす。このやノリノリの演奏風景りとりがとても不自然なので、場内爆笑である。
3曲目は、新曲の「恋のセンチメートル」ふと見渡すと、場内は立ち見も出ているほどである。ここのキャパシティは100人あるらしいが、150〜200人は入っているようだった。
続いて「ルートRockで待ってなよ」。時間がないのかMCを挟まずに飛ばしている。この曲の冒頭で、バンドが一瞬音を止める箇所があるのだが、この瞬間にトーマスはベースのネックを立たせるようなアクションをする。これがなかなか決まっていてかっこいいんだな。ビーバーは、ジャケット写真の時より髪が伸びていて、口を心持ち開きながら演奏するところが、往年のジャンキー時代のキース・リチャーズのように見えたと書くのは、ほめすぎであろうか。
5曲目、「ピチ・ピチ」。この後、例のテレビ出演の話をする。なんの番組かというところでは、全員で声を合わせて連呼。そして、どういうわけか、代々木公園で練習中、通りかかる車を渋滞させてしまった話。
6曲目、「恋のときめき」。曲を作ったビーバーがコーラス。この人のギターは、キュンキュン鳴るかと思うと、パンジーのキーボードと交代で、リズムを刻んでいたりもする。パンジーは、弾いているときその長身もあってか、くねくねと身をよじらせているようにも見える。この人、メンバー中で唯一わしらに話しかけなかったほどシャイに見えて、実はこっそりと彼女を招待していたのである。自分で買ってきた焼きそばなんか食べさせていましたよ。泣かせる話じゃありませんか。
次は、トーマスがなんとポエムリーディングして、「この詩に知子が曲をつけてくれました」の新曲「青春のソウル」である。ステージ上の知子は、先ほどの気のいいオネイサン然とした姿ではなく、眉毛も濃いめに描いていて、つけまつげなんかもしている。歌っている姿はやはりダイナマイトでしたね。
8曲目、「グラマー・ビート」CDでは、トーマス一人が「ウッ、ハッ」と唸っているのだが、ここでは、トーマスが「ウッ」と唸ったあと、なんとおとなしそうなパンジーが「アア〜ンッ」と官能的に続けているのであった。この意外な展開に圧倒的に多かった女性たちからは失笑が漏れ聞こえた。曲が終わって、MCとなるのだが、なんとトーマスが息切れ。
トーマス:「トモちゃん、トモちゃん。夜の気分だよ。ハアハア」
知子:「息切れしてる(笑)」(あとが続かない)
トーマス:「こんな司会していても、(客席が)反応してくれるなんて、2年前じゃ考えられなかったね。もう、最後になっちゃったけど、ウルフルズの「幸せですか」を僕たちに置き換えると、この曲、せーの」
全員:「おしゃべりエレキ」
ここまで飛ばしてくれた「知子のロック」、場内もかなり盛り上がっている。続けて、CDと同じく、「ヘナ・ヘナ」でお別れ。ここでメンバー紹介。
最後は楽器や機材を自分たちで片づけつつ何度もステージと楽屋を往復するのであった。ローディのいないインディーズの悲しさか。それでも、メンバーは明るく振るまい、古くからの顔なじみに挨拶を忘れないばかりか、なんとわしらにも声をかけてくれたのである。

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