佐野元春 星の下 路上の上Tour 東京国際フォーラムFinal 2006/04/02

アルバムリリースのないまま、ツアーに打って出た佐野元春。もっとも、ミニアルバムでツアータイトルになっている、『星の下路上の上』というものは出しているのだが。さて、今回も、#NARU#さんと、打ち合わせの上、ネットでチケットをゲット。佐野元春自身初めてとなる、東京国際フォーラムでの公演であるが、この5000人規模というキャパシティに客が集まるのだろうかという杞憂があった。佐野元春は日本武道館の1万人という経験はあるものの、この時は、デビュー20周年のファイナルであり、これをピークに客足は鈍っているところがあるのだ。
そのような心配事を胸に抱きつつ、当日がやってきた。

待ち合わせはやや早かったが、15:00会場内のとある店でミート。そのまま入口横にあるカフェでコーヒーを飲みつつ、開演を待つ。列に並ぶが、かなり待った。隣の幼児を連れた男性は、「今日の1曲目はなんですか?」と息子に問いかけているが、どうも、ネットなどを念入りにチェックしているやつらしく、息子も「アンジェリーナ!」と答えていた。馬鹿者めが。そのままロビー開演ということで、入場したもののさらに待たされる。しかし、Mot's Web Serverの400枚限定メッセージカードをゲット。これはお宝である。
ようやく席につくことができた。1Fフロアであるがかなり後方の右寄り。佐橋サイドということになる。開演は遅れているようである。それは初めての会場ということもあり、音声チェックなどに神経質になっているからだと見当をつける。なかなか、満員にはなりそうもなかったが、気づくとほぼ満員。やはり東京での元春人気は相変わらずである。また、アナウンスによると、休憩を挟まない1回の公演である。これまた、最近では珍しい。ようやく客電が落ちて、聞き覚えのある曲が流れてくる。フランク永井の「有楽町で逢いましょう」であった。これは、今回のファイナルにつけられたサブタイトルみたいなものであるが、まさか本当に流すとは。それも、フルコーラスで。
バンドが入場。久しぶりに聴く「The Hobo King Bandのテーマ」。メンバーは、いつも通りであるが、コーラス隊がいた。紹介によれば、TTシスターズというらしく、それぞれの頭文字のイニシャルからつけられたものである。どうせならば、プリティ・フラミンゴスでもいいじゃないかと思うのだが。さて、オープニングは、開場待ちしていた時にはからずも聞かされてしまった、「アンジェリーナ」。イントロから総立ちとなる。いつも気になる元春の声のコンディションであるが、まあまあの感じ。そして、The Sunツアーの時には、ヴォーカルに専念していた感のある元春であるが、ストラトキャスターを手にしている。続く、「僕は大人になった」「Complication Shakedown」と良い感じが続く。高音部の伸びも悪くない。…というか、ここ数年なかったものではなかろうか。地声で無理なく歌っている感じがよくわかる。そして、自分としては初めて聴くであろう、ライヴでの「Strange Days」。だが、身体が勝手に反応してしまうのか、サビの部分では、「♪Hey,Hey,Hey!」と反応してしまう自分がいた。
「Heart Beat」は、レゲエ風にアレンジされていた。まあ、この曲がこんな前半に持ってこられるのだから、軽い感じでアレンジされたものとなるのが自然であろう。元春とTTシスターズが両手でハートの形を作って、歌っている。そういえば、女性コーラスが入った元春を見たというのも、初めてではなかろうか。なんか良い感じである。続いて、『Cafe Bohemia』からの「99 Blues」「Individualist」。前者がオリジナルヴァージョンに近く、後者がThe Hobo King Bandヴァージョンと呼ばれるスカ風のもの。これは、ここ数年安定してパフォーマンスされるものである。やはり、サックスの山本拓夫が入ったことで、いっそうタイトな感じに仕上がっている。
今回は、今まで経験しそうで聴けていなかった曲も多い。先ほどの「Strange Days」の他、「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」「バルセロナの夜」「Do What You Like-勝手にしなよ」「Young Bloods」などと数多い。それに伴うパフォーマンスもなんか全盛期に戻ってきたような感覚があった。「Wild Hearts」の前のMCでは、「昔ラジオからよく聴いてきた曲もあって…今ストーンズが来日しているけど、今日(Stonesのさいたまスーパーアリーナと同日)は僕のために来てくれてありがとう」とか「ブルーの見解」での、オリジナルと異なる、叫ぶようなパフォーマンス。このヴァージョンは昔のDVDでも見ることができる。
後半は例によってヒットパレードとなるのだが、元春は手を抜かずにすべてを歌いきった。特に、「一生懸命歌うよ」といって演奏した「Someday」は、いつもならば、観客の大合唱となってしまうのだが、すべてのパートをオリジナルで破綻なく歌いきったパフォーマンスには、10年以上昔のコンディションに戻ってきたような感覚を覚える。そして、ラストの「New Age」では、多数の風船と銀の紙吹雪が天井から舞ってくる。もっとも、自分の席にはこれは届かなかったのであるが。
鳴りやまない拍手。アンコールは、ここ数年最もロック色の濃い「国のための準備」で始まった。膝スライディングも健在。アンコール前の#NARU#さんと話していたのは、ミニアルバムがツアータイトルになっているのに、その曲がないということであったが、アンコール2曲目でようやく演奏される。「星の下 路上の上」。レコーディングのメンバーが登場し、The Hobo King Bandは、いったん退場。そして、The Hobo King Bandが戻り、短いヒットパレード。挨拶を挟み、これがファイナルとなる予定だったが、鳴りやまない拍手を前に、メンバーで相談し、「彼女はデリケート」が演奏される。
ライヴが終了。そして、おきまりの祝杯は、東京駅内のエスニックな店で。
ミニアルバムがあるにせよ、なんでこの時期にツアーを行うのかということに対し、自分で出した答えは、もの凄くコンディションがよかったからなのではということである。#NARU#さんは、これでDVDが出れば、必ず買うということであった。
評価★★★★+1/2★
<Set List>
(1)The Hobo King Bandのテーマ '06 (2)アンジェリーナ (3)僕は大人になった (4)Complication Shakedown (5)Strange Days (6)Heart Beat (7)99Blues (8)Individualist (9)ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 (10)Rock & Roll Night (11)バルセロナの夜 (12)Do What You Like-勝手にしなよ (13)最後の1ピース (14)観覧車の夜 (15)君の魂 大事な魂 (16)Wild Hearts (17)ブルーの見解 (18)悲しきRadio (19)So Young (20)Rainbow In My Soul (21)Young Bloods (22)約束の橋 (23)Someday (24)New Age
<encore>(25)国のための準備 (26)星の下 路の上(Bass: 高桑圭、Gui: 深沼元昭、Drums: 小松茂) (27)Hobo King Band Medley (28)彼女はデリケート

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