カントリーロックの逆襲'98 渋谷Club Quattro 1998/09/25

ノージや萩原健太のサイトでは、既に盛り上がりつつあるカントリーロック。The Hobo King Band VS Last Showという新旧の対バン形式で、かつ豪華ゲストの共演というイベントである。マイ・フェィバリットの佐野元春や鈴木祥子なんかも出演してしまうのである。

この日のクワトロ前には、それらしきファンが駆けつけていたが、余裕を持って、向かいのレコファンなどに廃盤を見つけに行く(収穫はなし)。その後は、ラーメンで腹ごしらえ。整理番号、B74とのことで、クワトロ入口に向かうが、階段から物凄い列が出来ていた。番号を聞いて、列に入れてもらう。何とも凄い熱気で、酸欠状態のような。
それでも、何とか中に入り、場所を確保。ミキサーブースの横が死角のようになっていて、ここでものに寄りかかれる。数少ない座席は既に埋まっている。クワトロのフロアは、どういう訳か、左側に大きな柱があって、このあたりが見にくい。
時間通りに、オープニングが始まる。どうやら、Last ShowとHKBからの混成のようで、コロちゃんこと佐橋佳幸がギターを抱えて右側にいる。その後ろは、Dr.Kこと、徳武弘文のようだ。名付けてCRTユニット。「Kyonさぁ〜ん」という、黄色い声の声援も。えっ、どこにと見回すと、柱の陰に隠れ、オルガンの位置でスタンバイしていた。カントリーロックということで、フィドル、バンジョー、スティール・ギターまでいるのだ。このメンツで、1曲やって、司会の萩原健太登場。
まずは若手ということでか、HKBの登場。トミー(井上富雄)とアニキ(小田原豊)、センパイ(西本明)が登場。コーラスのお姉さんも一人。そして、徳武も残って、Kyonがヴォーカルを取る。う〜ん、なんだかこの雰囲気は、Hobo King Sessionそっくりだ。Kyonは、ギターに持ち替えて、中央に登場。「KeyはG」そして、クリス・ヒルマンの曲を歌い出した。HKB+フィドル+バンジョー+スティール・ギター+コーラスである。
「次佐橋君」ということで、コロちゃんのソロ。本日は、スティール・ギター奏者もいるので、ギターばりばり弾きまくりである。徳武さんは、退場。いよいよ独壇場となる。その曲は、イーグルスの「My Man」。バーニー・リードンが好きだったというコロちゃんである。ステージ上の佐橋だが、ほとんど上半身しか見えない。何しろ、背が低いからなあ。
次はトミーにスポットが当たる。「ところで、コーラスのお姉さんの紹介しましたっけ」(byトミー)「したよ」ずずっとずっこける、メンバー。トミーも上がっていたようだ。「僕も諸先輩方にくらべて、あまりカントリーロック詳しくないんですけど…」ということでThe Byrdsの「100年後の世界」という曲を。元Bo Gumbos、元ルースターズ、元レベッカ、さすらいのギター職人プラス和みのオルガンプレイヤーという、一見ばらばらなメンバーだが、コーラスワークはばっちりである。このメンバーでツアーに出ても、きっとやっていけるとワタクシは思うぞ。MCなんかも面白いし。
「さて、お待たせいたしました」(by コロちゃん)続いて、隠れたスター西本明の番だ。この日のセンパイは、黄色いバンダナを額に巻いているが、なんだか他のメンバーとはミスマッチなような感じ。「で、何を」「高校出たての頃…」「センパイ、高校出てたんですか(笑)」(byコロちゃん)などという突っ込みがばんばんかかる。曲は「She Ain't Going Nowhere」。西本がピアノを弾くと、ここからは見えない。オルガンだと、かろうじて見えるのだが。小田原豊に至っては、手の動きしか見えないのが残念だ。この曲でも、Kyon、コロ、トミープラスお姉さんが美しいコーラスワークを聴かせてくれる。なんだか、センパイも、舞台の場数をこなすに従って、歌もうまくなってきたような感じだ。
次に小田原豊に行くかと思いきや、佐橋に戻る。「わりと最近の人で、トム・ベティ、彼もカントリーがルーツにあると解釈するんですが」ということで、曲名不明ながら、渋く聴かせてくれる。
「ここまで、4時間ほど楽しんでいただきましたが…(笑)KeyはGです(笑)」最後は、Kyonが、グラム・パーソンズばりに、「Wild Horses」を(ギターだったけど)。今回は、この曲だけわかった。さすがに自分の完敗である。ところで、Kyonも、ストーンズはよく聴いたらしい。
萩原健太:「The Hobo King Bandの皆さんでした。彼らは年に3回ほど、ツアー以外にセッションをやってますので、よく探して行ってみて下さい。珍しく、西本明のトム・ロビンソンバンドとか、小田原豊のアメリカン・バンドなんてのも聴けます」(小田原立ち上がって、それはないと手を振る)
萩原健太:「あと、お願いなんですけど、実は会場には入れないくらいお客さんが詰めかけてきてくれたんですよね。フロア今でも狭いと思いますが、もう少し詰めていただけないでしょうか」なんと、凄い人気だよなあ。今度からは、ホールでやって欲しいものです。スタンディングはちと辛い。
萩原健太:「ありがとうございました。フロアの皆さん、ただでさえ狭いのに、私のようなものがいたら、なお狭くなっちゃうんですけど(笑)」
萩原健太:「さて、ここからは、豪華ゲストとの共演です。」
ということで、はじめに、カーネーションの直枝政太郎。中学時代に「小遣いがあまりなかったので、お得と思って」買ったコンピレーションアルバム、コロちゃんも持っているということが判明。ゲストは2曲ほどやって交代するみたいである。なんといっても、後が控えているからなあ。ゲストの入れ替えの合間には、萩原健太が出てきて、つなぎのMCを。ここで、例のレコード2枚組で、値段のことにことが及ぶと、客席からヤジが飛ぶ。そちらの方を見ると、どうやら、Last Showを見に来たと思われる中年男性であった。こいつは、今の音楽界については何も知らないのだろう。そして、このイベントも、萩原健太や、Kyon、佐橋佳幸の努力なしには、成立しなかったことなど知らないに違いない。
続いて、鈴木祥子登場。この日はドラマーではなく、ヴォーカリストとして、ジェイムス・テイラーの曲を披露。普段着ではなく、ドレッシーな胸元のあいたドレスを着ていた。続いて、センチメンタル・シティ・ロマンスより中野督夫登場。鈴祥と見事なデュエットを聴かせてくれる。鈴木祥子退場して、中野のソロ。
「昔、○○(洋楽アーティスト)の北海道ツアーがあって、ギター壊れたっていうから、貸してやったんだけど、その日フリーだったから、見に行って音録ってたのよ」
「それって、いけないことですよね。すぐそこに宇田川交番ありますけど…」(byコロちゃん)
「んで、その時の曲に詞をつけて、いつかやりたいなと思ってたんだ。いちお、許可は取ってあります。ところで、そこの君、なんて名前(と最前列に聞く)。あ、ともみちゃん。じゃ、ともみちゃんを入れて歌うから」
ということで、やりだしたのだが、女性の名前のはいるところで、ことごとく違う名前を歌う。HKBのメンバーも「?」状態だったが、最後に、
「あっ、ともみちゃんだった…はは、間違えちゃったなあ」との落ち。
「いやあ、最初間違えちゃってるよと思ったんですが…」「僕もそう思ったんですが、このような落ちがあったんですね」「皆さん、今度ステージで佐橋佳幸が名前聞いたら、こんな展開になると思って下さい(笑)」
「さて、次は我々の大統領の登場です」(by Kyon)。ここで、会場は凄い盛り上がり方。至る所で元春コールである。う〜ん、凄い。やはり佐野元春は人気がある。そして、濃いファンが多い。元春は、This'98の時と同じブルーのダンガリーシャツに、サングラス、つばのある帽子を被って登場。
「今日は起きたら、青い空で、僕は久しぶりに光合成した」(謎)。
んー、なんだかわからないが、かっこいいぞ。ここで、例のヤジ男が、「早くやれ」とか言うが、元春はゆっくりとハーモニカホルダーをつけて、吹き具合も試している。と思ったら、ブルースハープが上下逆さまで、メンバーに指摘されて、直しているというような次第。1曲目は、ディランの曲。なんだか、元春は、歌が下手?それともディランのテイストに合わせているのか。元春が他のアーティストの曲を歌うのを聴いたのは、もちろん初めてだ。なんだかノリが違うが、こんなものかなと思う。声のでかたはとてもいいと思う。2曲目は、なんと
「去年僕たちは、ウッドストックに行って来た。そこで作った曲から聴いてもらいたい」
とのことで、「Rock & Roll Heart」を演奏。やはり自分の曲だと、ノリが違う。もちろんここでも、ジョン・セバスチャン仕込みのハーモニカが聴けるのだ。
元春が自分の曲をここでやるについては、賛否両論あるだろうが、後に出てきたLast Showあたりは、オリジナルをばんばんやっていた。こんな狭いクワトロのステージで佐野元春を見れただけでも、価値に値すると思う。しかも、HKBのセッションも交えてである。これだけ見たら、もうお釣りはいらない。ここで、第1部は終了するが、以後については、メモを取らないということもあり、割愛させていただく。気になる人は、ノージのサイトでもご参照下さい。
評価★★★+1/2★

以上、1998年のログを残しました。この年から、レコード会社各社が協賛してのカントリーロックのコンピレーションのCDがリリースされ、能地祐子と萩原健太のサイトなどで、盛んにキャンペーンを張っていたものです。そこで登場するのが、The Last Show。若手の対バンとして選ばれたのが、The Hobo King Bandであります。この日の佐野元春は、ゲストということで、いささか場違いな感じでしたが。
なお、この日は、佐野元春の登場までを見届け、その後帰宅しております。

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