This ! '98 赤坂Blitz 1998/08/23(ロッキー・チャック/デイリー・エコー/スーパーカー/Dragon Ash/the pillows/佐野元春 & The Hobo King Band)

この年で3回目になる、このイベント。初めて参加してきた。この行事は、佐野元春が一押しの若手ミュージシャンを取り上げることでも知られている。(もっとも、この年以降行われていないが。)
地下鉄の駅を出ると、中高生くらいのファンが行き交っている。若いバンドが出るので、それもまた頷ける。

チケットの整理番号は、651番。中に入るのがかなり遅くなりそうで、いい位置を確保できるかが心配。何しろ、6組ものバンドが出演するので、座席のある2階席がよかったのだが、これは取れなかったのである。順次呼ばれる列を眺めていると、MIPSの人たちが、インターネットライヴのインタビューをファンたちに求めていた。うーん、でも、見るからに元春ファンではないような奴らもいるぞ。

手すりのあるステージ左側、中程を確保。当然、お目当ては、最後である。それまで持つのだろうか。会場が暗くなり、右端に、元春が登場。首からストップウォッチをぶら下げ、サングラスをしている。彼の司会は、淡々としていて、かつての「元春 Radio Show」を思い出す。クールでかっこいいな。

1組目の、ロッキーチャック。ほのぼのした感じで、なかなか好感が持てる。
2組目、デイリーエコー。「ヴォーカルの奥野君は沖縄を放浪していた…。もしかしたら、ボヘミアンなのかも知れない」との紹介。後ろにいた、女性連れの男は、何のことだかよくわからなかったらしい。こいつ、このイベントの意味がわかっているのだろうか。
3組目、青森出身だという、スーパーカー。だんだん音がうるさくなってくるな。このあたりから、ステージ前に押し掛ける客が多くなってきた。ほとんどが茶髪もしくは、金髪の奴ら。あまり元春のライヴでは見かけないタイプである。でも、ヴォーカルが何を歌っているのかまったくわからないぞ。
4組目、Dragon Ash。その前から縦ノリジャンプが目立っていたのだが、ここに来て、爆発。誰かに足を支えてもらって、会場にダイブする金髪組が現れる。このバンドには、DJもいて、打ち込みも使用する。ヒップホップと、オルタナの融合風でもあるが、どこかブランキー・ジェット・シティの曲に似ているものもあった。でも、やはり歌が聞こえないんだよなあ。最後は、ベースが水のボトルを会場に投げ入れ、ハウリングを起こしたままで退場。なんか勘違いしているなあ。会場全部がオメーらのファンじゃないんだから。

この間のセット替えを利用して、トイレに寄り、ビールを補給。

戻るが、今度は少し後ろになった。次のthe pillows。ギターバンド。うん結構いいじゃない。
「初めて行ったコンサートが、佐野元春さんだった」(ヴォーカルの山中さわお)とのことで、「Sugertime」をカバー。こういった敬意の表し方はいいですね。さすがはラス前のバンドである。それに彼らは、年齢的にも、経験を積んでいるから、そのあたりは大人である。今回は、タワーレコードとの絡みもあったのだろうが、いくら才能があっても、大人になり切れてない奴らをそんなにプッシュしなくてもと思う。


さあ、やっっっっっと大人の6人組の登場だ。

小田原豊のドラムから始まるこの曲は、もちろん「Young Forever」である。元春は、マリンブルーのシャツに、濃紺のパンツ。「The Barn」ツアーの時よりも声の伸びがいいみたいだ。をを、中央に座った、センパイは、パーマを当てて、まるで往年の中村雅俊みたいだぞ。もしくは、元マルコシアス・バンブの秋葉みたいな。Kyonは、サングラスをかけて、青いギターを弾いている。なんだかみうらじゅんみたいだぞ。

時間がないので、MCは挟まない。次は、「Doctor」である。ローディが出てきて、小田原のドラムと西本のオルガンの調子を演奏中に、いじっている。それでも、観客には、少しも不安さを感じさせない。Kyonは、エレビに戻った。後半トミーのベースがソロになって、スポットが照らす。

「7日じゃたりない」。元春がアコギに持ち替える。そのギターソロで始まるこの曲。横浜で初めて、元春の弾き語りを聴いたのだが、それを思い出した。今ではバンドを率いているが、一人でのパフォーマンスもできないと。いつか、元春のアコースティックライヴも聴いてみたいものである。マルチプレイヤーのKyonは、アコーディオンソロを聴かせる。元春、中盤で歌詞がややつまり気味であった。もしかすると一瞬忘れたのかもしれないな。こういうあたりが人間くさくていい。達郎やユーミンあたりだと、入念にリハーサルをやって、そういうミスはないのであろうが。(もちろん、元春もリハーサルは当然やっているはずですが)

ここで、MC。「今日は、チケットを握りしめてきてくれて、感謝しているよ。そして、僕のカバーをやってくれた、the pillowsにも感謝している」次の曲は、「誰も気にしちゃいない」佐橋佳幸のスティールギターが聴ける曲だ。

そして、打って変わって、「Complication Shake Down」。ブラス部分は、佐橋のギターがカバーしている。確かに、このバンドは、昔の曲でもブラスセクション抜きというハンデも感じさせずに、演奏しきってしまうのだ。きっと元春もこういうバンドを求めてやってきたのであろう。

ラストは、「ダウンタウン・ボーイ」。たった6曲という中に、これだけのエネルギーを込めて演奏しきってしまう、彼ら。次のツアーと新曲が楽しみである。秋には、シングルも出るらしい。

評価★★★+★1/2

以上、98年のログを少し加筆訂正しました。This !という、佐野元春が注目したミュージシャンたち、その前の年には、Triceratops、UAなどが出演を果たしている。彼らもすでに若手ではなく、中堅どころか。さて、この年の、出演ミュージシャンだが、1組目のロッキー・チャックはいつの間にか、消えてしまったようです。とはいえ、メジャーのアルバムを見かけたことはありますが。2組目のデイリー・エコーはロッキー・チャックよりは長く活動していたようです。ネットでも、ファンページなどがありますが、21世紀になってからは、あまり聞かないなあ。ちなみに、ヴォーカル奥野のボヘミアン問題だが、広告代理店に就職していたものの、無力感にさいなまれ、1年間沖縄で生活していたとのこと。この時に、曲を書きため、デビューに結びついたらしい。3組目のスーパーカーと4組目のDragon Ashはいうまでもないですが、爆発的に売れたと思いきや、現在は沈静化している模様。ラストのthe pillowsは、安定した活動をしているようです。
佐野元春自身は、この時期、The Barnツアーを終えたところで、メンバーもプライベートな感じが漂ってますね。ただし、バンドからは、西本明と小田原豊が抜け、現在に至っています。

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