Who are you?/松原みき

Who are you?

01 あいつのブラウンシューズ(島エリナ/杉真理/鈴木茂)
02 気まぐれうさぎ-Run Rabbit Run-(小泉長一郎/杉真理/松任谷正隆)
03 Rainy Day Woman(松本隆/亀井登志夫/松任谷正隆)
04 Hello Walls(小泉長一郎/佐藤健/松任谷正隆)
05 Jazzy Night(三浦徳子/林哲司/林哲司)
06 Marshia(松原みき/松原みき/鈴木茂)
07 Howa Howa Shuwa Shuwa-宇宙ネコの舌ざわり-(島エリナ/鈴木茂/鈴木茂)
08 夕焼けの時間です(三浦徳子/松任谷正隆/松任谷正隆)
09 Who are you?(松原みき/松原みき/松原みき)
10 Twinkle Twinkle Starlight-三日月形の犬をもとめて-(松原みき/松任谷正隆/松任谷正隆)

1980/09/21発売(PCCA-01068/C28A0114)
Producer:菊地哲栄

松原みきのセカンドアルバム。前作と同じく、多彩な作家陣と、名スタジオミュージシャンとの競演によるアルバムである。しかし、前作が、松原みきのシンガーとしての才能をいかんなく発揮するためにいささか凝ったアレンジに彩られた数々の楽曲を散りばめたのに対して、こちらはぐっとイメージを絞った感のある選曲である。特筆されるべきなのは、松原みき自身の楽曲を取り上げたこと。また、アルバムのライナーには、松原みきのミニバイオグラフィーや、松原みき自身からのメッセージも掲載してあり、より松原みき自身の世界に近づいた作品といえよう。写真のイメージもふんだんだ。このアルバムも、まだCD選書に入っているので、マニアには必至のアイテムか。

曲解説

あいつのブラウンシューズ
アルバム発売とともにシングルとしても発売された。ただ、シングル盤は、アレンジが違っていて、筆者はシングルヴァージョンの方が好きである。後に発売されたベストアルバム、『Paradise Beach』にも、シングルヴァージョンが収録されている。この時代に杉真理の起用は、タイムリー。松原みき自身のイメージにもあっていると思う。
気まぐれうさぎ-Run Rabbit Run-
『Pocket Park』にはなかった曲調。それもそのはず、またしても杉真理だ。前のアルバムの曲が、彼女の実年齢以上の女性像を描いているのに対して、ここでは、ほぼ等身大のポップス。まあ、実年齢以上の女性像といっても、彼女の場合それが決して無理を感じさせないのだが。その等身大のポップスといっても、アレンジャーに松任谷正隆を迎え、豪華な作りになっているが。
Rainy Day Woman
一転して、アダルト路線。前のアルバムのコンセプトを踏襲しているともいえよう。ここで起用されたのが、松本隆。これをシングル持ってきてもよかったのではと思うのだが。どういう訳か、一部のカラオケには、この曲が登録してある。
Hello Walls
またしても、前の曲と同じコンセプト。作曲者も、『Pocket Park』の作家陣のひとり、佐藤健である。曲作りには参加していないが、松原みき自身のアルバム内のメッセージより、何気なく見えるものをもう一度見つめ直して、素晴らしいものにしようというもうひとつのコンセプトがある。
Jazzy Night
三浦徳子−林哲司という、ゴールデンコンビで作り上げたもの。そうでありながら、シングルカットには至らないという、なかなか贅沢なアルバム中の佳曲である。後に、ヴォーカル部分を録り直したヴァージョンがシングルで出されている。それにしても、短期間で声質が変わってしまうとは。
Marshia
松原みき自身による、初めてメディアに登場した曲。何故かポニー・キャニオン時代には、あまり彼女自身の曲が取り上げられることはなかったが、いいものは持っていたはずである。これを聴くとその片鱗がわかろうというものだ。マーシャというのは、主人公の同性の友達であろうが、いったいどんな存在なのか。深読みの世界だが、JUNTYさんによれば、主人公の死んでしまった親友で、頭の中でおしゃべりをしているというもの。一方、筆者の説は、親友に違いないのだが、恋人を取り合った中で、以後音信不通。それが久々にあってわだかまりも解け、積もる話がたくさんというシチュエーション。深読みのしすぎ?
Howa Howa Shuwa Shuwa-宇宙ネコの舌ざわり-
リフレインの一切ない、叙情詩のような作品。これまた、タイトルが摩訶不思議だが、こちらも松原みき自身のアイデアが生かされているようである。あるいは、プロモーション段階で、事務所が考えたキャッチコピーなのか。ともあれ、松原みきという存在をタイトルにもしてしまった作品。作曲/アレンジの鈴木茂は、日本のロックのパイオニアみたいな人だが、無理な注文にも応えたものである。
夕焼けの時間です
現在(そして当時も)ユーミンの夫であり、アレンジャー/プロデューサーの松任谷正隆が残した数少ない作品。こちらも、三浦徳子の作詞だが、松原みきの考え方がコンセプトになっているのだろう。ということで、食事のことなどが取り上げられている。こうしたものは、20年近く経過した現在でも、「幸せな朝食 退屈な夕食」(斉藤和義)くらいしか思い当たらない。
Who are you?
松原みきによる、半分インストルメンタルのような曲。演奏も松原みきのピアノである。自作曲をあまり取り上げなかったにせよ、ここでこのようなシンプルな演奏を収録するとは、当時のポニー・キャニオンも、かなり意欲的である。もちろん、このような曲があらかじめストックされていたとは思えず、アルバム制作中に急遽作ったものであると思われる。当時からそのような注文には応えていた?
Twinkle Twinkle Starlight-三日月形の犬をもとめて-
こちらは、松原みきの詞に松任谷正隆が曲をつけたもの。これまた深読みだが、原曲はきちんと存在していて、松原みきの作曲ではなかったのではないだろうか。曲を消すにしても、詞が惜しいとかの理由で。もし、そうであるのならば、原曲の方を聴いてみたいものだ。後に、「ニートな午後3時」のB面として発売された。

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