Pocket Park/松原みき

Pocket Park

01 真夜中のドア/Stay With Me(三浦徳子/林哲司/林哲司)
02 It's So Creamy(中里綴/佐藤健/佐藤健)
03 Cryin'(森田由美/佐藤健/佐藤健)
04 That's All(森田由美/佐藤健/佐藤健)
05 His Woman(三浦徳子/芳野藤丸/芳野藤丸)
06 Manhattan Wind(及川恒平/惣領泰則/惣領泰則)
07 愛はエネルギー(三浦徳子/林哲司/林哲司)
08 そうして私が(三浦徳子/林哲司/林哲司)
09 Trouble Maker(竜真知子/梅垣達志/梅垣達志)
10 Mind Games(竜真知子/梅垣達志/梅垣達志)
11 偽りのない日々(及川恒平/惣領泰則/惣領泰則)

1980/01/21発売(C25A0077/PCCA00220)
Produce:菊地哲栄

松原みきのデビューアルバム。もちろん、LPのレコードしてリリースされた。帯にあるコピーは、「世代は変わった…!音のカテゴリーを超越した自由奔放な冴えがきわだつスーパー・シンガー・エンターティナー、遂に誕生!」とある。LP盤は、どういう訳か、表と裏の写真が逆についている。というか、レコードを取り出す口が普通のと反対にあるのだが。それにしても、嬉しいのは、ミュージシャン関係のクレジットがきちんとしていること。後のポニー・キャニオンの姿勢とはまるで考えられないことである。まだ、CDでも、発売しているので、ファンならば必須のアイテム。自作曲はないものの、多くの作家陣がこれぞとばかりに送り込んだ綺羅星のような楽曲を名プレイヤーとともに歌う。これで、当時20歳というから驚きである。

楽曲解説

真夜中のドア/Stay With Me
デビューシングル。シングル盤は、先行発売された。当時の気鋭、林哲司のおそらく最高傑作なのではないだろうか。林哲司は、竹内まりや「September」など手がけていたものの、まだ売れっ子にはほど遠い存在。後に、オメガトライブや菊地桃子と出会うことになるのだが、それらの楽曲も文句なしにしのぐ出来だと思う。シングルヴァージョンでは、冒頭の♪「To you…,yes my love to you」という部分が、松原みきのみで歌っているように聞こえるが、ここでは、オーバーダビングされている模様。後のベストアルバムなどでも、こちらのアルバムヴァージョンが収録されているため、気になる人は、シングルを入手されたし。ドラムに林立夫、ベースに後藤次利、ギターに松原正樹が参加。印象的なサックスソロは、ジェィク・コンセプション。
It's So Creamy
この曲の白眉部分は、曲名のリフレイン中に見られる、スキャット風の部分。ここからは、筆者の勝手な想像だが、プロデューサーやディレクターに指示されてやったものではなく、彼女がこれまで培ってきた、音楽的素養が、花開いたものだといえよう。ベースが意外と凝っていて、当時流行したチョッパー風である。
Cryin'
こちらは紛れもなく、フュージョンを意識した作り。ブラスもフィーチャーされている。中間の転調以後は、正に松原みきのジャズで培ってきた、シンガーぶりが発揮される。ここには、歌詞には載っていない語尾に自分自身で効果的な音を付け加えているのだ。例えば、♪「おまえだけさ…um um」♪「確かな手応えがほしい…Ya!」(色違い部分は筆者加筆)などといったところ。こんなことが、レコーディング時わずか19歳の女性にできるであろうか。正に天才の片鱗である。
That's All
こちらは、大人のポップスという感じか。かなりアダルトチックな音作りだが、当時のニューミュージック界の明るさからも外れたものだといえる。それだけ、大人っぽいサウンドを歌えるシンガーが当時なかなかいなかった、ということにもなるのだろう。おそらくレコーディングでは、ヴォーカル部分は、一発録りではなかったのではないか。
His Woman
バックに全面的に、SHOGUNが参加。もちろん、そのリーダー、芳野藤丸の曲である。SHOGUNは、79年、テレビドラマ、「俺たちは天使だ」のテーマソング、および劇中歌のサントラを手がけて、デビュー。全員がキャリア10年以上のスタジオミュージシャンである。それまで、スタジオミュージシャンには、スター性などなく、与えられた仕事を忠実にこなすのが、役目であると見られてきた中で、世間をあっと驚かせる仕事をして見せた。それぞれが売れっ子で、集まるのも容易でなかったと思われるが、当時未加入のケーシー・ランキンを除き、全員が参加し、見事な演奏を聴かせてくれている。それだけ、当時のポニー・キャニオンの松原みきにかける意気込みが凄かったということなのであろう。
愛はエネルギー
セカンドシングル。ここでも、三浦−林のゴールデンコンビが継続で担当。ミディアムテンポの、最も当時のキャンパス風景に合いそうなタイプの楽曲であろう。録音時期は、「真夜中のドア」とは違う時らしく、ギターが今剛、パーカッションが斉藤ノブに変更になっている。コーラスには、EVEに加え、TIME FIVEも参加している。
Manhattan Wind
作曲の惣領泰則という人、シンガー惣領智子の旦那ではなかったか。これまた凝った楽曲で、途中の転調、テンポの違い、また転調という具合。間奏部分では、見事なスキャットを聴かせてくれている。ピアノは、井上鑑。
そうして私が
「真夜中のドア」のカップリング曲として、シングルカットされた。こちらのクレジットは、「真夜中のドア」と一緒である。こちらは、スローテンポでシンプルな歌いやすい曲。シングル路線としては、タイプの違う曲をカップリングするという、ポップスの王道路線である。
Trouble Maker
梅垣達志という人、なかなか凝ったメロディラインを書く。またまた、転調の嵐である。アルバム中最も黒っぽいサウンドではなかろうか。松原みきはアマチュア時代、六本木にあるジャズスポット、バードランドで、飛び入りで歌ったところを、世羅譲氏に絶賛されたということがあった。そんなこともあってか、ジャズ・フュージョン系の人たちからは、新人ながらに一目置かれていたようなところもあり、様々なタイプの楽曲が提供された模様。
Mind Games
最も等身大の19歳〜20歳という、松原みき自身の生活に近いものが反映された歌詞ではなかろうか。これが、後の「宇宙ネコ」松原みきの世界というか、セカンドアルバム『Who are you?』に繋がっていくような気がしてならない。梅垣氏の曲も、異なったタイプで、アルバムの成功に貢献していると思う。
偽りのない日々
及川恒平という人、元六文銭のメンバーだと思うが、作詞も手がけているとは。松原みきの演じる女性像を表す場合、できれば女性の作詞家が良いには違いないが、無難にまとめていると思う。

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