The Rolling Stones A Bigger Bang World Tour 2006 東京ドーム 2006/03/24
3年ぶり5回目のStones来日。みたびアニタツさんのお世話になり、チケットを取ってもらう。今回は、ニューアルバム『A
Bigger Bang』があるのだが、ほとんど聴き込んでいない状態。まあ、それでもなんとかなるだろう。席は、アリーナが取れたとのことだが、果たしてどうなることやら。
ということで、東京ドームに。どういうことか、今回のツアーは、東京地区では土日や祝日が見事に外されていて、来日2公演めとなる、この日も金曜日という有様である。開場時間17:00、開演時間19:00となっているので、開演までには間に合うだろうが、何ともやきもきしながら、仕事を終わらせる。
さて、ドームに着くと、アニタツ氏の所在を確認し、すでに来ているとのことで会場入りをする。ドームの外ではツアーグッズを売っていたのだが、黒山の人だかりで、とても近づく気にもなれない。席はアリーナなのだが、どうやって入っていくのかわからず、係員に訊いた。普通の入場口からスタンド席をたどっていくのだとか。荷物検査。今回はやましいものもなくすんなり入ったのだが、なんとペットボトルの持ち込み禁止である。どうするのかと思ったら、ペットボトルの中身を紙コップに移し替えてもらうこととなった。紙コップを持ちながら席を探す。何とも不安定。
席につく。アリーナのB19ブロック。ステージの左端に近い。正面からはだいぶ遠い。ほとんどライトスタンド前というところで、高橋由伸がライト線ぎりぎりのフライを捕りに行くような位置である。もちろんパイプ椅子である。何とも前後が狭く、エコノミークラス症候群になりそうな感じもする。居住性だけだったら、スタンドの座席の方がもちろん良いだろう。そちらには、紙コップのホルダーなどもあるし。こちらは、紙コップを床に置いておくが、不安定なこと。係は蓋をくれなかったので、しょうがないので飲みきってしまった。
今回のツアーには、オープニングアクトがある。リッチー・コッツェンという元Mr.Bigのギタリストのバンドである。初日には自分のBBSで松原みきが歌っていた、「The
Winner」を英語で演奏したと報告されていた。これはあとで判明したのだが、リッチー・コッツェンが最新のガンダム作品の曲を担当するためで、そのプロモーションであるらしいことがわかる。ようやく会場が暗くなり、リッチー・コッツェンのバンドが姿を見せる。しかし、この日は松原みき関係の曲は一切なく、まったく知らないこともあって、早く終わらないかなあと思っていた。彼らは5曲ほど演奏した模様。絶対、アメリカだったら、ものが飛んでいるな。ペットボトル寄こせと思ってしまう。それにしても、長く待たされ、お茶の一気飲みが効いてきて、トイレに行きたくなってしまった。リッチー・コッツェンも引っ込み、そろそろかという時間に走るようにしてトイレへ。さすがにこの時間は空いていたが。
トイレから戻り、再び会場が暗くなる。ふとステージを見ると、建物風の作り物の中に人が群がっている。ここが噂の数万円もする特別席なのではなかろうか。それにしても、ここではメンバーの頭くらいしか見えないな。
ステージにはそのような巨大な作り物がセットされているが、これは、今までで一番金がかかっていそうである。今回もBステージがあって、そこへの移動手段もどうするのか興味があった。モニターが映し出される。ツアー名らしくBig Bangからあらゆるものが降って湧いてくるような構図。中には、バナナやクルマが混じっているのがご愛敬である。これがやがて地球上の都市に降り注ぎ、お馴染みのイントロとなる。「Start Me Up」。実は、東芝EMIのブログで初日のセットリストを確認していたので、この曲がオープニングであるということには正直言って驚いた。初日はこの曲はラストの方にあったのだ。まるで前回と同じスタート。しかし、今回はもちろん音が割れていないし、いささか遠いものの、ステージがよく見える。一瞬よぎったそんな感情も、どこかへ吹っ飛び、「♪You Make Grown Man Crying〜」と観客みんなでコーラスをつけている自分がいた。
ステージでは、シルバーのジャケットを着たミックを中心に向かって右にキース、左にロニーという配置だが、ふたりともケーブルを使わずに演奏しているために、位置が入れ替わったりする。ミックの真後ろがチャーリーで、いつもはジェントルに決めているチャーリーなのだが、この日はイエローのTシャツ姿であった。また、双眼鏡で見ていたアニタツ氏によれば、チャーリーを囲むようにして、アクリルのブースがあって、ここにセットリストが書かれてあるとのことであった。ベースはすでに3度目の来日となるダリル・ジョーンズ。メンバーと距離を置くようにして、ミックとチャーリーの右10mくらいのところを動かなかった。コーラスは、やはりリサ・フィッシャーと前回もサポートに来ていた男性のふたり。そして、我々の前にはブラスセクションが一段高い位置で演奏している。
客層は相変わらず高年齢である。初めてStonesのライヴを聴きにいってから、8年も経っているので、仕方のないことだが、歳を食っている割には、茶髪だったり、ゴマ塩混じりの顎髭を生やしていたりと、ワイルドさは十分。どいつも筆者の上司くらいの年齢なんだろうが、出勤してこんなやつが同僚だったら嫌だなあと思わせるものもあった。演奏は続く。ニューアルバムからの演奏もいくつかあるが、基本的にはヒット曲のオンパレードである。そうでなければ、許されない雰囲気であろう。「It's Only Rock 'n' Roll」「Ain't Too Proud To Beg」などの『It's Only Rock 'n' Roll』からの曲くらいから鳥肌が立ってきた。数多くのライヴに通っている筆者だが、鳥肌が立ったというのは、未だにStonesだけの現象だ。そして、「Worried About You」では、ミックがキーボードを弾き、ファルセットを多用して歌う。次の「Midnight Rambler」では、ブルースハープを披露。これが還暦を過ぎた男性なのだろうか。スタイルも20代の頃とまったく変わらないスリムさで、右と左の袖までやって来てはファンサービスも忘れることはない。もちろん、全力疾走して戻ることもある。これは凄い。それでも、以前よりは曲の間の空白が長くなったような気もするが、やはり凄いことにはかわりがない。
「Gimmie Shelter」、ここは毎度お馴染みになってしまった、リサ・フィッシャーとの掛け合いのデュエットが見せ場である。これが終わって、メンバー紹介。まずは、コーラス隊からミックによって紹介される。次に、ブラス・セクション。ここでは、やはり長くStonesと一緒に演奏している、ボビー・キーズの紹介で、一団と拍手が高まる。毎回そうなのだ。続いて、サポートメンバーのダリル・ジョーンズ、チャーリー、ロニーの紹介。ロニーは今回割と控えめであった。そして最後にキースの紹介。そのままキースのヴォーカル曲が2曲続く。ニュー・アルバムからの「This Place Is Empty」。アコギを持った、キースはリラックスして見える。その脇では、ロニーがアコギを固定して、スライドを披露。これは初めて見たことになる。「Happy」では、一転両者とも、エレクトリックに持ち替えてのロックである。キースのヴォーカルは、お世辞にも上手いとはいえないが、確実に前回の来日時よりも歌が上手くなってきているような印象がある。還暦を過ぎてそんなこともあるんだろうか。
ミックが復帰。曲は「Miss You」。ステージが前方に動いていく。必然的にそちらを向かざるを得ない。この時に気づいたのだが、アリーナの中心付近にかけて軽い傾斜がついているのだ。それは、筆者の見ている方向に対して、突出して背の高い人がいないということで判明した。アリーナを覆う緑のビニールシートの下には、何かを詰めているのだろう。そうでなければ、背の低い人は何も見えなくなってしまう。曲が完了すると、ステージはアリーナの中心に移動を完了した。これが新しいBステージである。1998年のBridge To Babylonツアーでは、センターステージにバビロン橋が架けられ、ここを歩いてメンバーが移動したものだが、このような仕掛けも、時代とともにハイテク化されていく。凄いものである。しかも、ステージがそのまま移動するので、音の出方などはメインステージと変わりがなく、安心して聴くことができるのだ。ただし、我々の席からは、かなり遠くなってしまった。バックネット付近のスタンド席の人たちには、Stonesがかなり近く、嬉しい配慮なんだろう。
曲は「Honky Tonk Women」。ステージが後方に移動。巨大なモニター前にゴム製の巨大な唇と舌、つまり、Stonesのトレードマークが現れる。ステージが元に戻り、再びメインステージで演奏が続けられると、これは即座に回収された。明らかに、終盤戦。曲もこれをやらなくてはというものばかりである。会場のテンションは再びヒートアップ。その合間に、会場に用意されたカメラが、観客を映し出す。我々の席の手前の人も一瞬映し出された。メッセージボードやStonesのグッズなどを掲げていたりすると、ターゲットになりやすいようでもある。
演奏が終了。もちろん、これですべて終わるとは誰も思っていない。即座にアンコールの拍手が続く。これまでの例からいうと、ほとんど間を持たせずに、アンコールが始まることになる。そして今回もそうであった。「(I Can't Get No)Satisfaction」では、誰もが飛ばす。かくいう自分も、ジャンプを続ける。そしてラストは、ステージの両脇から花火が放たれた。メンバー4人が手をつないで、会場に挨拶。残念だったのは、キースもロニーもこちらに来てくれなかったことである。ミックは、サービス精神旺盛で何回となくやって来たが。音はこれまでで一番良かったのではないだろうか。しかし、終了が22:00を過ぎてしまい、ドームから出るにも、かなりの時間を食ってしまったが、なんとか、飲み屋を見つけ乾杯したのであった。
評価★★★★
<Set List>
(1)Start Me Up (2)It's Only Rock 'n' Roll (3)Oh No, Not You Again (4)Bitch (5)Tumbling Dice (6)Worried About You (7)Ain't Too Proud To Beg (8)Midnight Rambler (9)Gimmie Shelter (10)This Place Is Empty (Keith) (11)Happy (Keith) (12)Miss You (to B-stage) (13)Rough Justice (B-stage) (14)You Got Me Rocking (B-stage) (15)Honky Tonk Women (to main stage) (16)Sympathy For The Devil (17)Jumpin' Jack Flash (18)Brown Sugar
<encore>(19)You Can't Always Get What You Want (20)(I Can't Get No)
Satisfaction
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