浜田省吾 On The Road 2005 My First Love 国立代々木競技場第一体育館 2005/10/15 

浜田省吾が4年ぶりとなるアルバム『My First Love』をリリースする。浜田の動きは春頃から旧譜のシングルをCDとして一気に発売するなど、急展開を見せていたのだが、アルバムリリースとともにツアーもアナウンスされることとなった。しかし、チケット発売日になんと仕事が入ってしまい、チケット争奪戦には敗れ去ることとなってしまう。
残念だが、諦めかけていた頃、#NARU#さんから、ファンサイトの掲示板でチケットのやりとりが行われているとのことで、一切をお願いしていたところ、この日のチケットが手に入ったのであった。
ほとんど、4年ぶりとなる浜田省吾、前回は世紀をまたぐ浜田にとっても思い入れの詰まったファイナルであったわけで、その間の変化を楽しもうと思っていた。

ということで、代々木にやってきた。チケットはまだ持っていない。現地で直接#NARU#さんとミートしての受け渡しである。地下鉄神宮前駅から会場へ。歩道橋の上からツアートラックが見える。これを携帯のカメラで撮っておく。会場内ではツアーグッズは販売されておらず、会場前の特設テントが設置してある。ここでTシャツをゲット。それにしても、SとMの2サイズしかないというのは、ツアーグッズの定番なんだろうか。ようやく#NARU#さんから電話が入り、チケットを受け取る。会場入りする前に会場外の屋台でペットボトルのお茶を仕入れて、入場。
事前に調べたところによると、今回の席は、もちろんアリーナではなく、新宿寄りの二階スタンド席最上部に近いところであった。以前ここで、「Live Epic 25」という、イベントを見たことがあるが、その時の音は最悪に近いものがあり、ステージからもかなり遠いものであった。入場すると、アリーナ席の真ん中くらいにカバーの掛かった正方形のものが見えた。これは、もしかしたらセンターステージか。席はやはりというか、スタンドの中央部に近い、上から5番目くらいのところであった。しかし、ステージにはかなり近く、身体を半身になって乗り出さなくても良いところであった。あとは音の心配だけである。
会場ははじめは空席も見つかったが、徐々に入り始めている。あとで判明したが、結局は満席となり、11000人くらいの入場者数だったらしい。早くも、ツアーグッズである、「05」という番号の入ったベースボール長袖Tシャツを着ている人も目立つ。4年前の時には、浜田省吾のファンは山下達郎とかユーミンほどは年齢層が高くないような印象を受けたのだが、よく見ていると、白髪まじり、頭髪の薄くなったような人も目立つ。その分、ファンも4年分歳を取ったということなんだろうか。中心層は30代後半から40代であろう。
会場には初期のビートルズナンバーが流れている。18:00少し前、アナウンスがあり、開演が近いことがわかる。ステージはかなり狭そうだ。客電が消され、メンバーが入ってくる。いよいよヒートアップする、会場。ビートルズナンバーは「All Need Is Love(愛こそすべて)」。とともに、浜田らしき人がステージの中央へ。「兄貴ー」というファンのかけ声。曲のイントロ、「ある晴れた夏の日の午後」であった。音は意外にいい。ここからはステージに近いものの、ステージ上の柱がじゃまになり、よく見えない部分もある。ステージの左右には申し訳程度のモニターがあるが、これはほとんど見えないに等しい。また、ステージのバックにも大モニターがあるのだが、これまた先ほどの柱がじゃまになって肝心の部分が見えなかったりする。この曲では古村敏比古のフルートがフィーチャーされている。ここから続けて、アルバム『My First Love』からの曲が続く。1曲目が意外にもアルバムラストのバラードであったのに対して、2曲目はアルバムのオープニングナンバーでいかにも浜田らしい、「光と影の季節」である。ここでは浜田節ともいえる「♪Wo〜」という、フレーズを多用するのだが、ファンもこれに合わせて大合唱。途中のギターソロは、長田進であった。
ツアーメンバーは、町支寛司<G、Cho>長田進<G>美久月千晴<B>福田裕彦<Key、Syn>小島吉喜<Key、P>古村敏比古<Sax、Fl、G>小田原豊<D>である。立ち位置は、浜田を中心にして、左側に長田と町支。我々の席からはギターサイドともいえる。右側に美久月と古村。浜田の後ろに小田原。小田原の左に福田、右に小島という配置であった。ステージの左右にはスタンド席を配慮してか、小さなせり出し部分があり、ここに浜田や町支、古村が出てくることもある。ちなみに、町支はこの日もコーラスワークを意識してか、インカム式のマイクをつけていた。そのメンバーだが、前回とはギターとベース、ドラムがチェンジしている。ベースの美久月はベテランのセッションマンであるが、この日初めて見ることとなった。また、長田も初めてなのだが、この人はDr. Strange Loveでも活躍、Puffyや奥田民生のサポートもしているのだが、佐野元春のThe Heartlandにも在籍していたギタリストでもある。ということで、かなり期待していた。はじめのギターソロは彼が弾くこととなったが、リードとリズムを町支と明確に区別しているわけでもなく、曲によって担当を変えているようであった。事実、町支のギターソロもあったし。そして、小田原豊は元レベッカで、その後は佐野元春のThe Hobo King Bandから斉藤和義などと組んでいた。長田、小田原ともこちらにとってはなじみのあるというか、どんなプレイを見せてくれるのかとても期待していたのである。また、前回はフィーチャーされていた、ストリングスは今回はなし。
バスドラムに合わせて初めての浜田のMC。次の「この夜に乾杯」では、今風にいえばレイザーラモンHGのような「♪フォーッ」というシャウトが入るのだが、ここも観客はほとんどが反応する。なんか、ほとんど完璧にコピーしているといった感じである。アルバム『My First Love』からの曲が終わり、「Hello, Rock & Roll City」に移ると、観客はラジカルな喜びを態度に表す。町の名前はもちろん、「♪Hello、東京City」ということになる。続く「終わりなき疾走」となると、ますます客席はヒートアップ。誰もが最初から歌っているような感じで、浜田の声もよく聞こえない。この曲は核となるフレーズがなく、歌うとなると最初から最後まで歌うしかないようである。ここのギターソロは町支であった。
ここでやや長いMC。
「皆さんも5年分歳を取っている。どうか無理をしないで(笑)…<中略>…どうか知っている曲だったら、口ずさんで…あの、叫ぶのと口ずさむのとは違うから、そのあたりはき違えないように楽しんでください」というものであった。「誰かがどこかで」。アルバムからの曲が続く。次の「片想い」では、メインのピアノを弾いていた小島を紹介しつつ、曲の想い出からデビューした頃の想い出へとしゃべっていく。当時のホリプロがこのあたりにあり、渋谷で弾き語りなどをやっていたとか、アイドル歌手に提供した曲の収録をこのあたりでやっていたなどと話す。そのため、渋谷にはどうしても思い入れがあり、長くなってしまうので、覚悟をしておくようにとのことだった。
続く曲は「青空のゆくえ」「さよならゲーム」「君がいるところがMy Sweet Home」とアルバム『青空の扉』からの曲が続く。個人的には、この中の曲で鈴木祥子とデュエットした「恋は魔法さ」が好きなので、スペシャルゲストで鈴木祥子が出ないかとも思っていたのだが。まあ、それはないだろう。この中のMCではドラムの小田原豊を紹介する。このあたりでドラムを担当したようである。そして、ここまでで第一部終了。15分の休憩となる。
ここまで1時間を少しオーバー。休憩を利用して身体を伸ばしにスタンド裏に行ってみるがどこも大混雑である。移動するにもままならないような感じで、すぐに戻ることにする。スクリーンではかなり前の浜田省吾のプロモーションビデオを流していた。肝心のセンターステージらしきものは、まだカバーが掛かったままであった。隣の#NARU#さんとそのあたりを話してみたが、いまいち情報はつかんでいないようであった。
第二部はきっちりと始まった。オープニングは「My Home Town」。ここではギターの町支の紹介。折に触れてメンバーを紹介するのは、いつもの浜田省吾のようである。続く曲は、ニューアルバムから「Thank You」。やはり、このツアーは、ニューアルバムからの曲が核となっているようだ。この曲では、観客がサビの大合唱となる。また、台詞めいた浜田のフレーズで最高に盛り上がった。
「みんなもそうだと思うが、バンドのメンバーの中には父親も多い。残念ながら、自分には子供はないが(をを、初めて知ったぞ)、子供はみんなで育てるものだと思っている。次の2曲は、父親について歌ったものだ」という紹介で始まったのが、「I'm a father」「花火」である。特に、前者ではアルバムと同じく、子供の声のコーラスがフィーチャーされていたが、これは効果音であろう。また、スクリーンでは、時任三郎が出演するプロモーションビデオが流れていた。
「My Sweet Darlin'」での曲紹介では、自分の姪のことを歌ったと証す。だが、聴かせる曲はここまでであった。町支の弾くうなるギターのフレーズは、「Money」そのもの。観客はもう全開で歌い続ける。はっきりいって、浜田のヴォーカルがまったく聞こえない。これは、「J.Boy」になっても同様で、まあ楽しいんだろうなあ。第二部の締めは「家路」「日はまた昇る」。最後のMCでは、「青空」のオープニングのフレーズが被り、まだ続くかとも期待させたが、これはSEのみであった。
客席はアンコールを要求する拍手が鳴り続けている。時計を見ると、第二部だけで1時間かかったことになる。アリーナ席を見ると、中央のスクエアなスペースにかけられていた、カバーを撤去するところであった。「なんだ、人力なんですね」と#NARU#さんと話し合う。センターステージがいよいよ姿を現した。中央にはドラムもセットされている。しかし、問題なのは、ここまでの登場の仕方であると思った。まさか、地下から現れるとか、などと話し合う。このインターバルはかなり長くなるかと思っていたが、意外にも、5分ほどでメンバーが再登場。
「君たちがまた呼んでくれたということは、それなりの心構えでいて欲しい」という言葉を残し、メンバーがステージから会場の中央に設けられたセンターステージまでを歩いて渡っていく。もちろん、歩くスペースには、柵が設けられスタッフが左右を囲いながらのものである。そういうことだったのか。
センターステージは、とても狭い。この中に8人もが位置するとぎっしりという感じである。ドラムとキーボードは配置されていたものの、それ以外のメンバーは窮屈そうにしている。福田裕彦は携帯型の肩から提げるキーボードを演奏することとなった。据え付けられたキーボードにはそのまま小島吉喜が入る。浜田はギターを手にするものの、弾いていないも同然。途中からは、タンバリン片手に歌うようになった。ここは、はっきりいって、音のバランスが崩れきっていた。まあ、かなり近くで見ることができたのが幸いなのであるが。ここでのオープニングの「初恋」では、浜田は左回りにメインステージをぐるぐると回る。これも、多くのファンに近くで見てもらおうという配慮なのであろう。この曲の終わりでは、ビートルズの「Nowhere Man」のフレーズがちらっと流れる。このあたりは、パフィや奥田でビートルズテイストを見せつける、長田がいてできることなのかも知れない。それにしても、センターステージでのMCはかなり長いものがあった。
ここでは、浜田がインカム型のマイクを使い、メインステージの時よりもヴォーカルが聞こえにくくなった。また、なぜかバンドの音はメインのアンプからは流されずに、センターステージ上のアンプのみで演奏がなされたようだった。音は非常に小さく聞こえる。また、古い曲を多くやったこともあって、ファンがこれでもかというくらいに歌いまくるため、聞こえなかったこともある。ここでは、年代別調査などがあり、「成人式は30からにしよう」とか、「町支くんと同じ50代の人?」という、長いやりとりもあった。
さて、問題は終わり方だ。「さよならの前に」のアウトロで浜田自身は特設の通路を通って、メインステージに戻り、やがて光の中から消えていったのだが、バンドはずっと演奏を続けている。演奏が終わってから、バンドだけ引き上げるというのも、かっこわるいではないか。と、思っていると、ドラムが打ち鳴らされ、メインステージのドラムにスポットが当てられる。なんと、浜田自身がドラムを叩き、メンバー紹介とともに、バンドメンバーが、特設の通路を戻っていく。それにしてもいいものを見せてもらえた。ここでは、ラップの「Love Has No Pride」に乗せつつ、ドラムを叩くのだが、途中から、「愛奴のテーマ」になり、町支がヴォーカルを取る。
そして、ドラムを小田原と正式に交代して、このツアーのメインともいえる、「君と歩いた道」へ。やはり、スクリーンには、プロモーションビデオが流れる。ラストは、このところ定番化したらしい「ミッドナイト・ブルートレイン」であった。ここまで、約3時間半。29曲という、長時間のものである。今まで付かなかった、客電がつけられ、スクリーンにはセットリストが流れる。外に出ると、かなりの雨であった。このあと、渋谷に出て、祝杯を電車の時間を気にしながら上げたのはいうまでもない。
評価★★★★
<Set List>
<第1部> (1) ある晴れた夏の日の午後 (2) 光と影の季節 (3) この夜に乾杯 (4) 旅立ちの朝 (5) Hello Rock & Roll City (6) 終りなき疾走 (7) 誰かどこかで (8) 片想い (9) 青空のゆくえ (10) さよならゲーム (11) 君がいるところがMy Sweet Home
<第2部> (12) My Home Town (13) Thank You (14) I'm a father (15) 花火 (16) Sweet Little Darlin' (17) Money (18) J.Boy (19)家路 (20) 日はまた昇る
<encore>(センターステージ) (21) 初恋 (22) 土曜の夜と日曜の朝 (23) バックシートラブ (24) 星の指輪 (25) ラストショー (26) さよならの前に
<encore>(メインステージ)(27) Love Has No Rride〜愛奴のテーマ (28) 君と歩いた道 (29) ミッドナイトブルートレイン

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