斉藤和義 Another Cold Tube at 新宿 Liquid Room 2000/08/03

「Cold Tube Tour」が終了して、1ヶ月が経った。このライヴは、そのツアーに組み込まれているものの、メンバーを替えて、少し違う雰囲気でやってみようというものである。チケットは、ひょんなところから手に入ることになった。知り合いのFBEATerが、友人と行けなくなったので、それを回してくれることになったのである。
さて、会場のリキッドルームだが、約700人収容のライヴハウス。場所は歌舞伎町にあり、ビルの上だ。開場時間の18:00をわずかに過ぎての到着となったが、すでに整理番号による入場が開始されていた。こちらは、A240番台であるが、すでに階段から並んでいるような状態。さすがに8月ともなると、風通しの悪い階段では、とんでもなく不快になる。それでもなんとか入り込み、ビール片手(ライヴは薄手は通常入場券の他にワンドリンク分を購入する必要がある)に、ミキサーブース横の位置を確保した。オールスタンディングともなると、人混みの中で見えない状態が嫌である。ミキサーブースの横は一段高くなっていて、ステージもよく見えるし、あまり前には人もいなく、その気になれば腰掛けることも可能である。
前座のバンド(こんなのがあるとは思わなかった)が終了して、いよいよ斉藤和義の登場だ。いつの間にか、パーマ頭になっている。彼は、アコギひとつを抱え、「大丈夫」を弾き語る。これが終わるとさっそく、ワインを口にするせっちゃんである。「イェィ」これがないと語り出せないような決まり文句だが、今夜の客は、なかなかに熱い。続いて2曲を弾き語り(うち1曲は新曲)、やがて宮内和之(ギター、Cold Tube Tourでは斉藤和義のみ)の入場となる。
そんな中、二人の出会いとかを語りつつ、二人とも椅子に腰掛けてのアコギな演奏の「de ja vu」。宮内自身をライヴで見るのは初めてであったが、石坂和広とも違って、ソリッドな印象のあるギターである。ここでメンバーが登場。ドラムス、向山テツ(Cold Tube Tourでは小田原豊)、ベースはお馴染み伊藤広規である。向山はブライアン・ジョーンズのヘアスタイルだとせっちゃんみずから紹介。宮内もせっちゃんもキース・リチャーズになりきってのオープンG。ここまで来たら、「幸福な朝食 退屈な夕食」しかあるまい。おまけに、伊藤広規のコーラスなんかも聴けて、めずらしいものを見せてもらったという感じ。ちなみに、伊藤広規は、山下達郎のバンドではベースのみに専念させられている。
しばらくバンドスタイルの演奏が続くが、向山テツのドラミングは小田原豊とも違い、全身の力をぶつけるような迫力である。また、宮内が入っていることで、ギターソロはほとんど任せることが出きるので、斉藤和義もヴォーカルに専念できるというものだ。この日は、キーボード(Cold Tube Tourでは、片山敦夫)がなかったものの、ギター2台のバンドスタイル。斉藤和義も本来のギターを前面に押し出した演奏で小手先をかわすということがなく、それぞれが腹にどしんと響くようなシンプルだが重厚なスタイルを楽しむことができたのではなかろうか。
宮内の爆音ギターは、途中でアンプまたはシールドが壊れるという事態を招きだした。この間は、あまり得意でない斉藤和義の語りで埋めていくのだが、もうかなりのキャリアが身に付いたためか、かなり自然な感じになっているように思う。また、この日のファンも通常の公演よりも少ないチケットを確保してくるくらいだし、間近に斉藤和義を感じられることもあって敏感に反応するようだ。それにしても窒息しないのか。何しろ、曲の間には、跳ねるように踊りっぱなしなのである。
そうした流れの中で自身が明らかにしたことがある。ツアー中の沖縄で急遽スタジオ録音した曲をこの日初めて披露。それが「古い話」「Mojo Life」という2曲だが、後にマキシシングルになるらしい。特に後者の意味に触れて、久々放送禁止用語を連発するせっちゃんの面目躍如といったところ。また、秋から冬にかけて弾き語りツアーをまたやりたいということを漏らす。
さて、もうアンコールとなった。メンバーは黄色いお揃いのTシャツとなったのだが、向山テツだけは、裾の部分を切りそろえて自分なりにアレンジしていた。ラストは、宮ニィもいることから、「通りに立てば」。もちろん、アルバム収録の<飛ばすぜ!宮ニィ>ヴァージョンである。最後は、全員揃ってのカーテンコール。このあたりは、「Cold Tube」ファイナルと同じである。
個人的には、「ポストにマヨネーズ」「通りに立てば」が聴けてよかった。また、こうしたメンバーだと、ツアーとは違ったノリが感じられるのだが、それも不自然ではなく、ずっと前から一緒にやってきているという感じでもある。バンドに収まるのは嫌いだといいながらも、きっちりとバンドをまとめてしまう斉藤和義は、ただの歌うたいには収まらないものがあるだろう。さらに今後を期待しよう。
評価★★★★

以上、2000年のログをやや加筆しました。それにしても、蒸し暑い夜だった。斉藤和義は、このあと、Sevenの活動を継続せず、弾き語りとかストリングスとの競演、などと、新しい方向へと踏み出していっているようです。残念なのは、今ひとつブレイクしきれないこと。さらに活躍を期待したい人です。最近ライヴに行っていないので、どんな風になっているか気になるところでもあります。

ライヴレポートに戻る

TOP INDEX