斉藤和義 十二月 東京厚生年金ホール 1998/12/17
斉藤和義のライヴは2度目である。とはいえ、今回は、完全にひとりで行う、弾き語りのライヴである。雰囲気も自ずから違うんだろう。新宿駅から、ここまではかなりの距離があるが、もちろん歩いていく。向かいのリンガーハットで腹ごしらえ。この店内にも、ライヴに行くと見られる男女がいた。席は、2回の左側。渋公の時とは反対側の位置である。ステージには、「ソファ」が用意され、中央に小さなテーブルと椅子。この周辺にギターが置いてあり、絨毯が敷かれている。右側にはグランドピアノが置いてある。
ほぼ予定通りにでてきたせっちゃんは、ブラウンのスーツに緑のシャツ。シングル「ソファ」アルバム『Golden
Delicious』のジャケットにも登場する黒のアコギを携えて登場。あ、髪が短くなっている。弾き語りということで、すべてひとりで行うようだ。オープニングは、「tokyo blues」。カズーを途中で入れていく。歌詞にはない、「♪あとはかいて(爆)寝るだけ」というフレーズを入れて大受け。さすがは、趣味があれだというせっちゃん、右手を痺れたように振って見せる。「イエ〜ィ」。続けて、「Hey! Mr,Angryman」。これは、結構ゆっくりとしたヴァージョン。次は、アコギを換えて、「空に星が綺麗〜悲しい吉祥寺〜」。バックには、星の映像が。このライヴは、映像も一緒に楽しめるという作りになっているらしい。某サイトでその情報は仕入れていたのだが。
もう一度、黒のアコギに。ギターはローディが持ってくる。「進めなまけもの」である。ここまで語りはなく、観客の野次に対しても、小さく「イエ〜ィ」と頷いているのみ。次の「郷愁」では、ギターを換えて、ブルースハープも披露。
「気楽にね」との木訥とした語り。本人もリラックスしているようで、グラスからなにやら飲んでいる。ここでフェンダーのギターにチェンジ。「彼女」「寒い冬だから」を続けて。椅子に座ってはいるものの、キース・リチャーズ風に足蹴り一発、両手の肘をはるような仕草を見せる。そのあたりをわかっている奴らいるのだろうか。続いての「君が百回嘘ついても」では、ラメっぽいギターにチェンジし、ボトルネック奏法と、打ち込み。テーブルの上にある、スイッチで音を調節したり、切り替えたりしている。これは見事である。
「歌うたいのバラッド」では、アコギにチェンジ。「引っ越し」では、バックにビデオの映像が流れる。出てきた女性は誰なんだという反応も。どくろの指輪がなかったから、奥さんではないようである。「せっちゃん、今の女の人誰?」(ファンの声)これには答えず、「せっちゃん、何飲んでるの?」には、「ワイン」との答え。「月影」では、ピアノに移り、ハープをくわえつつの熱演。もちろん、バックの映像は月である。
「これからは、いわゆる激しいやつコーナーね。立ってもいいよ」との一言に促されるように立ち始める観衆。曲は「君の顔が好きだ」。だんだんとエスカレートしてきて、お約束のように、「♪君の腰が好きだー」「♪君の○○○○(放送禁止用語)が好きだー」とのフレーズに盛り上がる会場。見たところ、7割方女性客ばかりというのに、なんなのだろうか。そして、WOWWOWで年末に放送されるらしく、カメラが入っていたのだが、せっちゃんと正対したところで、「お前も、ピンクの○○○○が好きだぁー」とタイミング良く叫ばれ、カメラマンはたじろいだように二三歩退いたのであった。もしかすると、渋公の時に、蹴りを入れられそうになったカメラマンかもしれないな。ところで、この曲だけは、放送できないと思うのであるが。ピー音でも入るのだろうか。
「幸福な朝食 退屈な夕食」ハープも使って、ラップを。曲の出来としては、元のやつがかっこいいだけに、ちょっとという感じであるが、ギターの弾き方も、このあたりから、だんだんと激しさを増してくるではないか。会場のテンションもいやが上に盛り上がる。そして、「Fire Dog」。再びの打ち込み使用。よく聴いていると、別のギターも打ち込まれている。それにしても、ひとりでここまでパフォーマンスできるというのもすごい。『ジレンマ』『Because』のひとり録音は伊達じゃなかった。あのような木訥とした男だが、持っている力はすごいものがあるだろう。
「何処へ行こう」「僕の踵はなかなか減らない」ここで、上着を脱ぐ。スクリーンには、ギターの音と反応して、いろいろな模様が出る。本人も、一度振り返って、確かめている。再び、ワインを口にするせっちゃん。「酔っぱらい」コールも。そして、ラストの「ソファ」では、誰もが座り始めた。何しろ、10分はあるという曲なのだ。ここでの映像は、クルマからの眺めなのだ。おそらく東京だろうが、最後にドライバーの顔がアップになった。それは、普段着の斉藤和義本人である。クルマはパジェロではないだろうか。
ここで、一度退場。アンコールに促されて、Tシャツで登場。「アンコールはやっぱりいつものように何も決めてないんだよね」とのことで、あちこちから、候補の曲が投げかけられる。「じゃあ、この曲のレゲエヴァージョンにしよう。こう弾いたら、足でリズム取ってね」ということで始まったのが、「deja vu」。バックには、斉藤和義本人がそのまま映る。続いてが、「大丈夫」。
会場を出ると、アコギで「歌うたいのバラッド」を弾いている二人組がいた。
評価★★★★
(Set List)
1.tokyo blues 2.Hey! Mr.Angryman 3.空に星が綺麗〜悲しい吉祥寺〜 4.進めなまけもの 5.郷愁 6.彼女 7.寒い冬だから 8..君が百回嘘ついても 9.歌うたいのバラッド 10.引っ越し 11.月影 12.君の顔が好きだ 13.幸福な朝食 退屈な夕食 14.Fire Dog 15.何処へ行こう 16.僕の踵はなかなか減らない 17ソファ (encore)18.deja vu 19.大丈夫.
以上1998年のログを残しました。斉藤和義の魅力というと、歌がうまく、ギターにこだわるところ。最初のライヴがバンド形式で、次の今回が弾き語りというものだが、こちらも見ていてよかったと感じました。何しろ、ギター1本でここまでできてしまうソロミュージシャンは、山崎まさよしと斉藤和義くらいなんじゃないかと思われます。また、斉藤和義はギターだけでなく、キーボード演奏もこなすので、ひとりながらも奥深いパフォーマンスが期待できます。
このあと、ソロ活動と平行して、スリーピースバンドのアルバムをリリースしてますが、2003年には体調を崩し、公演をキャンセルしてます。が、これも、立ち直ってます。残念なのは、CCCDのアルバムをリリースしてしまったことくらいかな。今後、大いに期待します。ちなみに、この公演はライヴアルバム化されています。
ライヴレポートに戻る
TOP INDEX