SOYとは、小倉博和、佐橋佳幸のギターデュオ「山弦」に歌ものもやるので、ヴォーカルを捜していたところ、たまたまセッションで加わった、平松八千代(ex Lanpa)の感じがよかったので、急遽作り上げた、バンドである。それぞれ、頭文字をつけただけなのだが。しかし、この時期、山弦としての活動は公式には行われていなくて、こちらのSOYの方が、先に音源デビューをしたという、経緯がある。
佐橋佳幸は、「日本のポップス界に石を投げれば、必ずこの人のレコードに当たる」(佐野元春)といわれるほどの売れっ子ギタリスト。UGUISS(ウグイス)でデビュー以来、数多くのセッション及び、ツアーサポートを繰り返し、現在は、佐野元春& The Hobo King Bandのギタリスト。
小倉博和は、サザンオールスターズのサポートなんかをつとめ、佐橋と知り合って、ギターユニットの「山弦」を結成し。最初は、山弦のアルバムを出す予定でいたものの、八千代さんとの共演で、山弦のアルバムは後回しにして、このユニットをやってみたくなったとか。
一方の平松八千代は、LANPA(ランパ)という、バンドで活躍。TBSの「イカ天」にも出演して、キングにもなってますが、バンドブーム時にもかかわらず、異色のアダルトなヴォーカルでくだけた演奏をしていました。LANPA解散後は、ご主人と、Nap On Mandayというデュオで活躍してますが、山弦との出会いがあり、SOY結成となりました。
CDはもちろん、手に入れた。聴いてみると、やはり気持ちのいいサウンド。そして、ライヴ決定。すぐにチケットを押さえました。
SOYとしての初ライヴ。前夜の大阪に続き、これが2日目である。
ぴあで予約したチケットの整理番号は、120番台。軽く食事して、会場に駆けつけると、すでに開場を15分ばかり過ぎていた。物陰には、なんとダフィーが。
開場を取り巻くファンの数もあまり多くなく、すでに入場していたと勘違いして、そのままチケットを見せて入る。真ん中の席が空いていた。そのままトイレに行くと、「これから整理番号順に入場を開始します」とのアナウンス。???まじめに待っていた皆さん、すいませんでした。しかし、このトイレ付近で、小倉さんに遭遇。
SOYは、少し遅れて登場。バンドを従えている。三人は、ステージ前方の椅子に座って、リラックスした感じでスタート。曲は、「真夏に続く道」。
真ん中の八千代さんは、白いノースリーブのワンピース。左の小倉さんは、白いTシャツに、赤の前あわせのベスト、コットンパンツ。右のコロちゃんは、やはり白いTシャツと、前あわせの柄物のベスト、ジーンズという身軽さである。
アルバムから、「恋があばれそう」、「約束」と続け、MCに。
「今晩は、SOYです。今までは、バンドでやりましたが、これからは、フォーク風に三人でやります」とのことで、バックのメンバーは退場。
「一週間」を演奏して、次はカバーへ。八千代さんのお姉さんが、少し歳が離れていて、70年代のフォーク・ニューミュージック系をかなり聴き込んだとか。そんな曲の中で、五輪真弓の「空を見上げる夜は」を取り上げた。これをやりたいために、中古屋を覗いたそうだが、実に簡単に見つかったとか。これまた、コロちゃんがいるからかな。
佐橋「いい曲なんですけどね〜。ジャケットが凄いんですよ」
平松「もう、眉毛なんか点みたいのが二つあるだけで、まるでもう、『麻呂』やねん」(爆)
佐橋「あっ、ここに五輪さんの関係者いないでしょうね。ここカットね」(と、指でチョッキンする仕種)
小倉「でもねえ、このアルバムで、彼女、キャロル・キングと共演しているんですよ。あの時代だから、キャロルもばりばりでしょ。こりゃあ、凄いことですよ」
続いて、アルバムには入っていない「ひなぎく」という曲を。ここで一旦、八千代さん、退場。
「ここからは、山弦です。二人だと山弦。ひとりだと…」「佐橋で〜す」「小倉で〜す」なんて軽妙なMCもあり、途中からバンドも加わって、素晴らしいアンサンブルのギターを聴かせてくれたが、ここでは省略。
再び八千代さんが加わり、「レモネード」。イントロは、アコギだったが、途中から、二人ともエレキに持ち替える。八千代さんは、髪にビーズをつけて、黒いパンツルックの上に、白いノースリーブの裾の長い服をつけていた。
続く「夕焼け前」では、八千代さんもアコギを抱えての演奏。この人、高校の時、「フォークソング部の部長」だったそうです
「生きたい」「Suger Days〜あの日」「Sweet Season」と次々に曲を披露していく。SOYのサウンドは、アコースティックの時もエレクトリカルな時も、絶妙のアンサンブルを聴かせてくれる。また、ギター2台とヴォーカル&コーラスの時も、バックに他の音が重なるときも、計算していないのに、ぴったりと心和ませるようなサウンドなのである。それに重なっていく、暖かみのあるヴォーカル。
アンコール。
なんと、ガロの「地球はメリーゴーランド」だ。
佐橋「ガロっていうと、みんな知っているのは、『覚せい剤の喫茶店』でしょ…(笑)。あっ、ここんとこ、カットして下さい」(なぜか録りが入っていたらしい)。
続いて、聴き覚えのある「あふれる愛」。追悼ニコレット・ラーソン。
最後の曲は、「Going Home〜家に帰ろう」。
バンドのメンバーは、アルバムの面子と一緒である。
紹介順に、Wood Instruments(Sax,Flute):山本拓夫。Per:大石真理恵。D:鎌田清。B:有賀啓雄。Key:柴田俊文。
ふと気づくと、会場は、120%の入りでした。400人近くいたでしょう。夏には、山弦のアルバムも出すそうです。SOYとしても、まだまだやってくれそう。だって気持ちいいから。これは願望だな。
評価★★★+(1/2★)
以上、1998年のログを少し訂正して残しました。この時は割と砕けた感じで語っていたんだねえ。さて、その後の、SOYは、アルバム収録のシングルが、テレビ番組で使われたりしていましたが、ライヴ活動はこれ以降一切なしに終わりました。しかし、誰が聴いても感じがよいこともあってか、番組のバックの音楽などに使われたものが、多数あり、やや寄せ集めの感はあるものの、『SOY2』というアルバムを残しています。
しかし、山弦としての活動は、これから本格的となり、気持ちよいセッションを続けていっています。ちなみに、この時や曲げんとして演奏した曲は、「祇園の恋」「そりは滑る」などだったと思います。山弦としては言葉はいらない感じもしますが。