The Rolling Stones Bridges To Babylon Tour 東京ドーム 1998/03/14

ストーンズとの出会いは、「悲しみのアンジー」の頃にさかのぼるのだが、来日中止騒動があったのは覚えている。本格的に聴くようになったのは、大学に入ってから。友人のイのタツさんにレコードを貸してもらってからである。それからというもの、もう病みつき。81年の『Tattoo You(刺青の男)』の頃が一番盛り上がったような。ついに来日するとの噂も飛び込んだものです。

しかし、こなかったぞ、ストーンズ。

あたしゃ、待ちましたね。しかし、いつの間にか、音楽にかける情熱も冷めかけて(でもアルバムはきちんと買っていた)、すでに来日2回というのに、まだ行ってない。
月日は、立って、パソコン使いになっていました。そんなときにストーンズ来日のニュース。早速、旧友のイのタツさんに連絡を取り、チケットを押さえました。それも2回。最初は、イのタツさんの兄貴(といっても双子なので、同学年です)から譲り受けたもの。これは、ファミリーマートの先行予約だったらしい。2度目は、チケットニフティ。こちらはなんとなんとのアリーナだっ。
そして、その日がやってきた。
イのタツさんとは、新宿で待ち合わせをした。ロニーの版画展が伊勢丹で開かれているので、これを最初に見て盛り上がろうという算段である。伊勢丹には、これからいかにも「ライヴに行きます、もうワシ待ちきれないんじゃけん」というような感じのどう見ても僕らより年上の人たちも大挙してそろっていた。
そして、水道橋に移動。まだ陽が高い。チケットは持っているし、ここは前祝いである。もういい加減ビールで乾杯した頃、6時を回ったであろうか。ああ、イのタツ君、あのときの飲み代は払っていないのだが…。連絡を乞う。

なかなか気分良く、ドームに突入する僕たちである。その前に、写真を撮っていると、関西から来たという女性二人組にシャッターを押してくれと頼まれた。席は、2Fの中央付近。ほとんど後ろから数えた方がいいくらい。まあ、これでもS席である。
18:45、客電が落ちる。いきなりステージ上のスクリーンから花火が我々に向かって放たれる。と、同時にあのギターのリフがドーム内に鳴り響く。気がつくと、豹柄のコートのようなジャケットをまとったキースが中央に立っていた。しかし、ここからだとステージ上の彼らはまるで蟻んこのようだ。眼はどうしてもスクリーンの方に注がれてしまう。
「コンバンハ、トキョー!」ミックが叫ぶ。
今回の来日は、もはやビル・ワイマンがいない。サイレント・ストーンと蔑まれながらも、チャーリーとともに、長年ストーンズのリズムを刻んできた男。そんな彼が実は、僕は好きだ。ビルの代わりは、サポートメンバーの、ダリル・ジョーンズである。
しかし、ここ2階席は、天井に近く、音が反響してしまう。演奏はまだいいのだが、ヴォーカルのバランスが崩れているといってよいのではなかろうか。ストーンズ側では、このドームを含む公演で、かなりPA設備に投資しているらしいのだが。確かに、音はよくなっているらしいのだが、僕には前述のように感じたのも事実。さらには、先ほど飲んだアルコールが気持ちよく回ってきて、一瞬我を忘れかけたのも事実。
ミックも自身4回目の来日とあって、日本語のMCにも磨きがかかっているような。「タノシンデル?」とか、「ツギハシンキョクデス」なんてのも。
コーラスのリサ・フィッシャーもかなりメンバーとはしっくりいっているようだ。「Gimmie Shelter」ではミックとの掛け合いが独壇場である。
ステージ上のスクリーンに見覚えのある画面が。なんと、インターネットエクスプローラーに、ストーンズサイトのファンの投票が映し出されている。今回は、「Star Star」。スターファッカーとしておなじみの曲である。そして、キースのコーナーへ突入。ミックはここで一息つくのは、いつもと同じ。
ミックが再登場。ここからはセンターステージに移動。
アリーナの客はいいなと思う。アリーナ最前列の客はこの時後ろを向かなくては行けないが、後ろめの人には、いい配慮だと思う。しかも、ここでは演奏しているストーンズ自身もあまりモニターの音が聞こえないらしく、やや全体のヴォリュームを落としての演奏である。それが、2階席ではかなりクリアに聞こえるのはどうしたものだろう。
彼らが、バビロン橋を帰っていく。
そして、往年のヒットパレードである。スタンド席は傾斜がきついので、立ち上がるのがなかなか怖い。それでも、やはり立ち上がることにする。ふと周囲を見ると、かなりの年輩の人たちもノリノリである。興奮は我を忘れるのか、さらには会場中の大合唱。イのタツさんも僕も声を張り上げてそれに加わる。ミックのヴォーカルもかき消されるほどであった。
アンコールもすべて終わった。しかし、これはまだ僕にとっては前夜祭であった。
評価★★★★

以上、1998年のログです。長年待ちわびた、彼らをひしひしと思うような気持ちが表れていますねえ。ストーンズもこの後、アルバムをリリースしていませんが、メンバーの方は相変わらず元気で、ミックとロニーがソロアルバムをリリースしています。そして、2002年の秋から、再びワールドツアーを行うということです。まあ、今度ばかりは、これほどの興奮はないだろうけど。それにしても、全盛期に見たかったなあ。


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