う・わ・さ・に・な・り・た・い/epo

うわさになりたい

01 Girl In Me(epo/Ray Parker Jr./清水信之)
02 真夏の青写真(epo/epo/清水信之)
03 ある日の貴方へ(epo/epo/清水信之)
04 Secret Agent(epo/epo/村松邦男・清水信之)
05 雨のめぐり逢い(epo/epo/清水信之)
06 うわさになりたい(epo/epo/大村憲司)
07 夜の寝息(epo/epo/清水信之)
08 On Sundays(epo/Peter Schwaltz/大村憲司)
09 ワンダーランド(epo/epo/大村憲司)
10 安眠妨害(epo/epo/大村憲司)
11 JOEPO(epo/epo/JOEPO BAND)〜Down Town(伊藤銀次/山下達郎/清水信之)

R32H-1030
1982/05/21発売
Produce:宮田茂樹

epoは、RCAの秘蔵っ子ともいえる存在。プロデビュー前に、竹内まりやなどのバックコーラスとして起用され、竹内まりやの妹分的存在として、Sugarbabeの「Down Town」で19歳でデビューした。竹内まりやの「セプテンバー」のバックで歌っているのは、彼女である。この時わずか、18歳。この時、東京女子体育大学在籍(のち中退)。体育大というと、音楽アーティストとしては一風変わった経歴であるが、都立松原高校時代は、1学年上に清水信之、1学年下に佐橋佳幸らがいて、共に音楽活動をしていたらしい。
新人としてデビューは他人の曲でのものであったが、自作曲も侮れない出来で、次第にこちらの比重も増えていくことになる。また、CM曲を数多く手がけていることでも知られる。このアルバムは、epoの3枚目のアルバムで、プロデュースは、後にMIDIレコードの社長となる、宮田茂樹であり、epoもそれに伴い、移籍することになるが、実質的なプロデュースは彼女自身と清水信之であろう。
この後のepoは、活動拠点を海外に移したり、帰国してからは、また小さなワークショップ的な活動に移行したりし、メジャーなシーンからは、消えていくことになるが、決して、この若いときの作品がまぐれなどではなく、その金字塔は色あせることはない。

楽曲解説

Girl In Me
オープニングは、レイ・パーカーの提供曲である。この曲に関してのみ、作曲者のレイ・パーカーがギター、ラリー・タルボットのドラム、アレン・マッグリアーのベースというように、曲のベース部分は海外録音をされている模様である。これに、清水信之(もちろん、松原高校時代の先輩で平松恵理の旦那)がキーボードとシンセで味付けをしている。この曲はもちろん、提供曲でありながら、しっかりと彼女自身のものに取り込まれていることが特筆されよう。アルバム唯一のシングルカットである。
真夏の青写真
ちょっぴりチャイナ風のイントロ。もちろん、清水信之の小技であろう。この若さにして、アレンジャーを任されるくらいだから、大したものなのであるが、あまり最近では、仕事ぶりを聞かない。また、この時代にしては、珍しく、清水信之だけですべての楽器を担当しているらしい。とはいえ、バックのコーラスは、epoと大貫妙子である。
ある日の貴方へ
ミディアムテンポの曲。この時期のepoの曲というと、はじけるような印象があるが、実はこういうものが非常に多い。印象には残らないものの、重要な曲の間をつなぐものであろう。
Secret Agent
アレンジは、清水信之と元Sugarbabeの村松邦男である。かといって、ギターに比重が置かれたアレンジではなく、かなりの部分で清水信之自身のシンセが鳴りまくっている。効果的に入る、電気処理をされた声(「I From RCAA」などといっているように聞こえる)は、竹内まりや。RCA時代の縁で成り立った、友情出演みたいなものだろう。
雨のめぐり逢い
スローなバラード。名曲である。ここは、彼女の言葉を繋ぐ構成などが、予想以上に素晴らしいものであることがわかる。詞の端々に見え隠れするところから想像すると、かなりの部分で実体験を通してできた曲とは思うが、職業作詞家にない本音の部分とそれを表現する力が優れているからこそ、できたものであろう。それにしても、それはかなりヘビーな体験だっのか。このあたり実体験を通さなくても、曲ができてしまうのが、プロ及び職業作家たるところなのだが、それを感じさせないでできてしまうとしたら、ほとんどユーミンの域に達してしまうものとなろう。
うわさになりたい
同タイトルの曲は爆風スランプなどもあるが、やはりこちらであろう。アルバムタイトルと同じ曲だが、おそらくこのアルバムの中のベストチューン。当時としては、♪「つきあう男で 変わるというけれど」というフレーズが画期的ともいえよう。何しろ、当時女性が異性に対しては、「あなた」とか「彼」というのが普通であるのだが、「男」といいきってしまうのは、10年は先取りしていたのではなかろうか。この曲は、ドライビングミュージックでありながら、ところどころで、フラッシュバックしていくように、本音が語られる。それにしても、わずか20歳にしては大人びているというか、そんな気がしてならない。シングルカットにならなかったのが残念だ。
夜の寝息
やはり、epoが素晴らしいのは、曲だけでなく作詞の面でも優れていたからではなかろうか。このスローバラードでも、まるで空気のようにけだるさが流れていく。バックに流れるのは、epo自身と大貫妙子の小さいながらも絶妙で効果的なコーラス。やはり、バックコーラス出身ということもあるが、このような小技が生きてくる。
On Sundays
一転、ラテンの味付け。Petre Schwaltzという人は、いろいろ検索してみたが、よくわからない。おそらく、カバーではなく、提供を受けたものと思われる。アレンジは、今は亡き大村憲司となり、洋楽テイストには、合っているのだろうか。楽曲自体をepo自身のものに取り込んでしまっているかのようだが、フレーズの頭を強調するメロディラインなどは、日本人にはないものの作りか。
ワンダーランド
トイ風のメロディ。アレンジは、ギターの大村憲司でありながら、上手にシンセなどでおもちゃ風の音を作っているのが効果的である。このあたりが当時の清水信之にはない、ベテランの味なのだろうか。実像的には、当時の年齢のepoに最も近い感じの曲なのかも知れない。コーラスアレンジは、epoの力に寄るところが大きいと思われるが、クレジットがない。
安眠妨害
ヘタウマ風のヴォーカル。元々作曲者のepo自身がこのような感じを想定して作った曲なのだろう。そうした意味では、彼女のアレンジということも、クレジットされていてもいいと思うのだが。こちらもまた、当時の実年齢のepoと同世代あたりの女性を代弁したものであると、筆者は感じる。
JOEPO〜Down Town
前半は、曲というよりは、DJが架空のラジオでの曲紹介。後半というか、これがメインなのだが、Sugarbabeの曲を持ってきている。epoのデビューは、「Down Town」のカバーなのだが、ここでは、アレンジを変え、再びカバーに取り組んでいる。epoの力量を持ってすれば、別の終わり方もできただろうに、再びこれを取り上げたというのは、それなりの理由があったに違いない。

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