01 ジユウ ニ ナリタイ(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
02 煮えきらない男(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
03 月影(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
04 Hey! Mr.Angryman(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義・片山敦夫・溝口肇)
05 歌うたいのバラッド(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
06 男と女(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
07 蝉(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
08 PAPARAPA(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
09 決断の日(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
10 さよなら(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義・山家清)
11 I'm FREE(斉藤和義/斉藤和義/斉藤和義)
FHCF-2408
1997/12/26発売
Produce:斉藤和義
97年末に出た、斉藤和義の6作目。この年、5作目の『ジレンマ』も出していて、年間2作というハイペースであった。しかし、少しもテンションの落ちることなく、前作同様ほとんどの楽器を担当するという、セルフプロデュースぶりも見せつけている。『ジレンマ』では、かなり内面に入った曲作りをしていたのだが、ふと気づくとポップでなくてはという、反省もあり、急遽レコーディングに入った模様。しかし、『ジレンマ』のコンセプトの延長線上にあることは確か。
筆者はそれまで、斉藤和義を知らなかったのであるが、ショップで視聴してみて、すぐにはまってしまった。それだけポップな味付けと、ロックなテイストが融合されている佳曲が並んでいる。しかし、昔からの斉藤和義ファンには、やや物足りないものがあるのかもしれない。
曲解説
- ジユウ ニ ナリタイ
- 『ジレンマ』のラスト、「幸福な朝食 退屈な夕食」のような感じで、ややラップがかった曲。「ノートもワープロもとっぱらって」「携帯電話はだから欲しくない」という叫び、とても共感するものがある。しかし、筆者はこの教えを守っていないのが残念なのだが。ところで、この中の「生きていくことなど死ぬまでの暇つぶし」という一言が、某テレビドラマで金城武が台詞にしていた。そこのディレクターあたりに、彼のファンがいるのかもしれない。
- 煮えきらない男
- 斉藤和義の歌詞には、「テレビ」という言葉がよく使われる。ああ見えて結構テレビ好きと思われるのだが、ここでは逆説的に、街に出て何か行動せよというメッセージが込められていると見た。
- 月影
- 三十路を迎えてしまった斉藤和義が、昔を振り返る歌である。イントロのブルースハープ、ボブ・ディランあたりの影響が大いに伺えるのだが、筆者は大好きである。彼には、同世代を生きてきたもの同士が感じる何かがあって、その共有感が昨今の男性シンガーソングライターと違うところだと思う。正に、「気がつけば、ほら。 あの時の匂いがする」のである。この曲がシングルカットされなかったのが非常に残念である。しかし、ベストアルバム『Golden Delicious』では、ラストに持って来るという、にくい配慮。『Because I'm Free』ツアーでのセットリスト上ではじめから決めていた<註>アンコール曲である。註 アンコールは、客席のリクエストで決めるというスタイルが最近定着しているが、ラストの曲だけ決まっていて、これが、「月影」である。
- Hey! Mr.Angryman
- アルバムからのセカンドシングル。はじめは、ハングリーマンだったらしいのだが、変更したらしい。途中で挿入される、ラップ風の叫びが、曲に渇を与えていると思う。
- 歌うたいのバラッド
- ファーストシングル。ただ「愛してる」という一言がいいたいがために、作ったかと思われる曲だが、斉藤和義自身は既に結婚している。やはり斉藤和義はポップスシンガーなんだという、認識を新たにさせる。この曲に惹かれて、アルバムを買った人も多かったのでは。『Golden Delicious』では、ボーナスシングルトラックとして、ライヴヴァージョンがおまけで付いている。
- 男と女
- タッチを変えて、女性側からアプローチしたラヴソングである。そうした曲はかなりあって、中でも、白眉なのではないだろうか。
- 蝉
- 冬に出たアルバムで、夏のこともないだろうと思うのだが、収録時期がそのあたりだったのだろう。日常のやるせなさを歌った曲の中に、「彼女の姿が見えない」「夕べのあの時間」などとせっちゃんと呼ばれるもう一つの側面が見えかくれする。
- PAPARAPA
- ごきげんなブギーナンバーである。アルバム後半にもなると、倦怠感のようなものが生まれることもあるが、これが入ることによってアルバム全体に渇を与えているように思う。斉藤和義による、ドライビング・ミュージックという解釈もできる。
- 決断の日
- 「月影」のもう一つのヴァージョンのように筆者は感じられる。「靴屋の主人は 家族をいつも 裸足で歩かせる」というフレーズ、練りに練ったものと思うのだが。某掲示板では、これが替え歌のようになって、「服屋の主人は…」などという、とんでもないヴァージョンを生み出していた。
- さよなら
- なんと、原信夫とシャープス&フラッツをバックに従えて朗々と歌う。こうしたヴァージョンもいいものだ。
- I'm FREE
- 斉藤和義の尊敬する、小田原豊との掛け合い。ご存じ、元レベッカ、現在は、佐野元春のバンドにいる、小田原豊だが、ツアーではドラムを担当している。(2003/04/20追記:小田原豊は、その後佐野のThe Hobo King Bandを飛び出し、斉藤和義のバンドに入った。)