01 Good for us!(YOU/M Rie/金子隆博)
02 恋してる(古内東子/古内東子/亀田誠治)
03 Good Times Bad Times(種ともこ/種ともこ/美久月千晴)
04 たそがれ(具島直子/Pink Opaque/桐ヶ谷Bobby)
05 カプチーノ(シーナ・リンゴ/シーナ・リンゴ/亀田誠治)
06 ふたりのせいじゃない(鈴木祥子/鈴木祥子/佐橋佳幸)
07 愛しい時(YOU/上田知華/高野寛)
08 木蓮のクリーム(シーナ・リンゴ/シーナ・リンゴ/亀田誠治)
09 はじめてのサヨナラ(古内東子/古内東子/亀田誠治)
10 パールグレイ・スノーダンス(上田まり・香川ルナ/上田まり/亀田誠治)
11 シャンプー(シーナ・リンゴ/シーナ・リンゴ/シーナ・リンゴ)
TOCT-24061
1999/02/24発売
Produce:山川智
99年に出た、女優/アイドルのセカンドアルバムである。もちろん、筆者が好んでこういった路線のものを聴くはずもなく、FBEATの方で、紹介されてえーい、ままよと手に取ったのが運の尽き。ここでは極上のポップスが展開されていたのであった。
もちろん、ともさかについてもあまり詳しくなく、少し顔のゆがんだお姉ちゃんくらいしか認識がないのだが、ここで提供されている多彩な作家陣の曲を見事に歌いこなしている実力は、一般のアイドル/女優の片手間に出したものとは一線を画すものがあるといいきってよい。また、この年に大ブレイクした、ディーバ系あるいは、リズム&ブルースに仕上げなかったのも、成功の要因。とはいえ、彼女の楽曲を続いて購入するかどうかは別問題だが。
曲解説
- Good for us!
- クレジットにある、M Rieとはアイドルデュオ「Milk」の宮嶋りえ。YOU(exフェアチャイルド)と組んでのオープニング作品は、コンテンポラリー風なアップビートなものである。途中のおしゃべり(ほとんど聞こえないが)に、椎名林檎がともさかと加わっていて、椎名のこのアルバムでの露出度も高い。アレンジャーの金子は、Big Horns Beeという、ホーン出身の人みたいだ。
- 恋してる
- 古内東子の曲提供。また、古内自身がコーラスに加わっている。曲調は古内東子ワールドそのもので「キャミソール」なんて言葉も出てくる。おそらく、古内のアルバムから漏れたものをここでもって来たのではないかと想像する。ともさかのヴォーカルも、古内東子テイストに溢れている(というよりそっくりだ)。具体的に指導はなかったらしいが、ともさか自身が古内の歌い方を真似てみたのではないだろうか。それだけでも、この人の持っているシンガーとしての実力が垣間見られるというものだ。アルバム発売よりもだいぶ前にシングルが切られ、結果的に先行シングル第1弾となった。亀田誠治という人、ここまで古内東子の世界を再現するとは、大したものだ。
- Good Times Bad Times
- 種ともこの作品。こちらは、種作品といっても、自身のアウトテイクではないだろう。種ともこもポップス歌手ではあるが、そちらのテイストとはだいぶ違うような出来である。いわば、提供を前提に作られたものではなかろうか。その種ともこも、コーラス参加している。スタジオミュージシャンである、美久月がここまでアレンジするとは思ってもいなかった。
- たそがれ
- 作曲者が匿名である。ボサノバ風のポップスで、一時期ユーミンのアルバムでもコーラス参加していた、桐ヶ谷がアレンジャー&コーラス。また、作詞の具島も、コーラス参加している。(2003/04/15:追記)ネットでPink Opaqueを検索してみたら、大阪を活動拠点とする、二人組のパンク系バンドであったが、果たしてそうなのか。
- カプチーノ
- 椎名林檎の作品。先行サードシングルである。椎名作品とはいえ、ここではポップスに変身。これは、ともさかの声質もあると思われる。もちろん、椎名の作品であるから、『無罪モラトリアム』での楽曲候補であっただろうが…。そちらは、退廃とかパンキッ主なテイストでまとめられたアルバムなので、こちらに回ってきたのだろう。はたして、椎名自身が歌うとどうなるのか、そちらも聴いてみたいものである。
- ふたりのせいじゃない
- こちらは鈴木祥子の提供。そして、その御大である佐橋佳幸が加わっての作品である。というと、ポップス/ロックの権化みたいなものだが、アルバム中でもやや違ったテイストに仕上がっているような気も。その佐橋は日本で一番聴かれるギターで参加。コーラスでも、佐橋と鈴木が参加している。決して手を抜いたものではないと思うが、鈴木も佐橋もともさかというキャラクターを把握しきっていなかった作品なのではなかろうか。
- 愛しい時
- YOUというと、元フェアチャイルドのちょっと変わった声のヴォーカリストである。その彼女が元シンガーソングライター上田知華と組んでの提供だ。しかも、アレンジャーで、高野寛が加わっている。こちらは、先行セカンドシングル。曲調は、しっとりしたポップスで、脳内でアルファ波が出まくりそうな感じ。高野は、コーラス参加。他にも、カーネーションの矢部浩志、太田護がドラムとベースで参加している。アルバム中、筆者の一番のお気に入りかもしれない。
- 木蓮のクリーム
- 椎名林檎が提供。アレンジャーも椎名作品と同様に、亀田誠治が担当している。ともさかと椎名は、同い年で、親交もあるようだ。それにしてもタイプの違う二人が組んだ曲。そうした中に、デビュー1年目にして、曲提供もしてしまう椎名の実力も凄いものだと言い切ってしまう。こちらは、「カプチーノ」とのカップリングでサードシングルとなっている。椎名の提供曲3曲中、もっとも椎名らしさが表れている曲で、ともさかの歌い方も、椎名に近いものになっている。けっこう情感も入り込んでいて、この人けっこう柔軟性があると思う。椎名は口笛で参加。
- はじめてのサヨナラ
- こちらも、古内東子作品で、「恋してる」とのカップリングで、ファーストシングルとなっている。こちらには、古内の参加はない。どちらかというと、最近の古内作品に近いものがあるだろう。古内自身もそうなのだが、曲の内容とは別に、歌い方に情感がこもっていないようなのがまたいいのだろう。それにしても、古内東子はこの時点でもっともよいシンガーに曲を提供したといえる。
- パールグレイ・スノーダンス
- こちらは、上田まり作品。彼女もコーラス参加している。おとなしめの作品だが、亀田誠治によって、いい具合に仕上がっていると思う。
- シャンプー
- 椎名林檎のピアノに乗せて歌うというシンプルなスタイル。そうして1トラック任されてしまう、椎名の実力はやはり凄いものなのだろう。ともさかの息づかいや、椎名のピアノのペダル操作音なども聞こえるという具合で、おそらく一発録り。これができるということは、もはや女優/アイドルとは一線を画すということである。それにしても、クレジットにある、「班長・亀田誠治」とは何のことだろうか。椎名のアルバムにある、班長とは、アレンジャーやプロデュースを指すものだと思ったが。(2003/04/20:追記)椎名とともさかは所属のレーベルが同じで、アルバムの発売日までが一緒である。つまり、同時期に収録を行っていたものと想像され、このような交流が生まれたものと思われる。ということは、椎名は、シングルを発売間もない頃か、あるいは、デビュー前ということも考えられる。